遺伝性血液疾患の原因タンパク質を制御する新規のユビキチン経路を解明~ファンコニ貧血にかかわる新たな関連因子群の同定~

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2021-10-28 京都大学

小児難病の遺伝性再生不良性貧血で最も頻度が高いのが、「ファンコニ貧血」とよばれる病気です。この病気は重篤で白血病や固形がんを併発し、その分子機構の解明は重要です。

髙田穰 生命科学研究科教授、勝木陽子 同特定講師、安倍昌子 同研究員(研究当時)らの研究グループは、ファンコニ貧血の原因遺伝子SLX4が正常に機能するために不可欠のタンパク質RNF168を新たに同定しました。

SLX4は、造血分化の際「クロスリンク」とよばれる種類のDNAの傷を修復する分子機構で働くと考えられています。遺伝子変異により、この機構が正常に働かなくなると、DNAの傷が正しく修復されずに「ファンコニ貧血」を発症します。SLX4は「ユビキチン」とよばれるタンパク質に結合するアミノ酸配列(UBZ4ドメイン)を使ってDNAの傷に結合しますが、そのメカニズムはわかっていませんでした。本研究では、SLX4の部分的なアミノ酸配列を蛍光タンパク質と融合させ可視化して、DNAの傷に集まるために必要な「ユビキチン化酵素」を探索し、RNF168酵素分子がSLX4の損傷への結合と正常な修復機能に必要であることを見出しました。本研究グループは、今後、RNF168にユビキチン化されるタンパク質(基質)を探し、造血分化の分子メカニズムをさらに明らかにすることを目指します。

本研究成果は、2021年10月27日に、国際学術誌「Cell Reports」に掲載されました。

本研究の概要図
図:本研究の概要図

詳しい研究内容≫

研究者情報
研究者名:髙田穰
研究者名:勝木陽子

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