予期せぬ場所から聞こえる飼い主の声にびっくり~ネコは耳で飼い主の位置を捉えている~

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2021-11-22 京都大学

これまでの研究から、ネコが目に見えない物体について心の中でその存在をとどめておくことができることはわかっていましたが、そのような認知能力が実際の生活場面でどのように活かされているのかはわかっていませんでした。

そこで、高木佐保 文学研究科・日本学術振興会特別研究員(現・麻布大学・日本学術振興会特別研究員)、千々岩眸 同教務補佐員(現・大阪大学特任研究員)、藤田和生 同教授(現・京都大学名誉教授)、黒島妃香 同准教授、荒堀みのり 野生動物研究センター 特任研究員(アニコム先進医療研究所株式会社研究員)、齋藤慈子 上智大学准教授らは、ヒトと住居を共にするネコを用いて、飼い主の声からその位置を心的に捉えるのかを調べました。

ネコを部屋に1匹にし、その部屋に2つのスピーカーを設置しました。1つは扉の外で(スピーカー1)、もう1つは部屋の中に設置しました(スピーカー2)。スピーカー2は部屋内の窓や扉などの下に設置し、スピーカー1からは最低4m離れていました。飼い主の声でネコの名前を呼ぶ声を5回再生した後に、間髪いれずにスピーカー2から同じ音声を再生しました。6回目の音声再生後のネコの反応をヒト評定者が「どの程度驚いているか」に関して評定実験を行いました。ネコは飼い主の声がスピーカー2から再生される条件で、知らない人の声がスピーカー2から再生されるなどの他の条件よりも、驚いたと評定されました。このことから、視覚的には見えない飼い主の位置を心の中で捉えており、その位置が瞬間的に変わると「驚く」ということがわかりました。

ネコは一般的にはイヌよりも飼い主に対する愛情がうすいといわれていますが、見えない飼い主の存在を心の中にとどめていることがわかりました。見えないものを心のなかにとどめておく能力は、創造力や想像力の基盤となる認知機能であり、ネコは考えられてきたよりも複雑な認知能力を有している可能性があります。

本研究成果は、2021年11月10日に、国際学術誌「PLOS ONE」にオンライン掲載されました。

予期せぬ場所から飼い主の声が再生されて驚くネコ
図:予期せぬ場所から飼い主の声が再生されて驚くネコ

詳しい研究内容≫

研究者情報
研究者名:藤田和生
研究者名:黒島妃香
研究者名:荒堀みのり

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生物工学一般
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