“膵のう胞からの癌発生機序”に迫る研究成果
2021-12-23 東京大学
IPMNは健診などで膵のう胞(液体が貯留した病変)として偶然見つかる膵臓癌のリスクとなる病変であり、近年患者数が増えています。IPMNが見つかっても手術以外の方法で癌化を予防する術は確立されておらず、IPMNの腫瘍進展プロセスの理解が必要とされていました。
そこで、東京大学医学部附属病院 消化器内科の加藤裕之 特任臨床医、立石敬介 講師、 小池和彦 名誉教授、藤城光弘 教授らの研究グループは、患者由来の生きたIPMN培養モデルを世界に先駆けて構築し、先進的なゲノム・エピゲノム解析を統合駆使することで、
(1)IPMNが進展する初期の段階から特有のエピゲノム制御機構が疾患を形成していること
(2)その責任分子としてMNX1・HNF1Bを同定し、IPMNの新たな治療標的となる可能性を発見しました。
今回の研究結果・コンセプトにより、IPMN患者さんの予防医療・治療最適化に向けて研究が加速することが期待されます。
本研究成果は、米国科学誌『Gastroenterology』の本掲載に先立ち、2021年12月21日(米国東部標準時)にオンライン版に掲載されました。