2022-05-09 アメリカ合衆国・カリフォルニア大学サンディエゴ校(UCSD)
・ UCSD が、皮膚に装着してグルコース、アルコールおよび乳酸のレベルを継続してリアルタイムにモニタリングする、オールインワンのウェアラブルを開発。
・ プロトタイプデバイスは 25 セントを 6 枚重ねた程度の薄さで、人間の毛髪の約 1/5 の細さのマイクロニードルのマジックテープのようなパッチを皮膚に張り付けて使用する。皮膚にはほとんど貫通しないため、痛みを感じさせない。
・ マイクロニードルパッチに電子機器のケースを接続した構造で、ニードルの先端にある各酵素が間質液中のグルコース、アルコールおよび乳酸に反応する。これらの反応で発生する微弱な電流を電子センサーが分析し、その結果は別途開発のアプリにワイヤレス送信されてスマートフォンにリアルタイムに表示される。
・ マイクロニードルパッチは電子機器ケースから容易に取り外して交換できる。再利用可能な電子機器ケースには、バッテリー、電子センサー、ワイヤレストランスミッター等の電子部品を収容。デバイスはスマートフォンやスマートウォッチのワイヤレス充電パッドで充電できる。
・ 糖尿病患者の継続的なグルコースレベル監視等の商用の健康モニターが計測するのは 1 種類の信号のみ。より効果的な疾病への対処に役立つ情報が得られない。
・ 飲酒はグルコースレベルを低下させるため、アルコールレベルの監視は有効。両物質のレベルを把握することで、飲酒後の血糖値の急激な低下を回避できる。身体活動はグルコースの調整機能に影響することから、運動中の筋肉疲労のバイオマーカーとして監視できる乳酸レベルも有益な情報となる。
・ ボランティア 5 人の上腕にデバイスを装着した試験では、各自の運動、食事とワインの摂取中のグルコースレベルをアルコールと乳酸のレベルと同時に継続して監視。これらの計測値は、商用の血中グルコースモニター、ブレサライザーおよび研究室での乳酸測定でそれぞれ得られたレベルにほぼ整合した。
・ スタートアップの AquilX を立ち上げ、商用化に向けた技術進展を目指す。今後は、マイクロニードルパッチの寿命の調査、投薬レベル等を監視するセンサーの追加を検討する。
・ 本研究は、UCSD の Center for Wearable Sensors、米国立衛生研究所(NIH)傘下の米国立神経疾患・脳卒中研究所(NINDS)が支援した。
- URL: https://ucsdnews.ucsd.edu/pressrelease/multi-tasking-wearable-continuously-monitors-glucose-alcohol-and-lactate
<NEDO海外技術情報より>
関連情報
Nature Biomedical Engineering 掲載論文(アブストラクトのみ:全文は有料)
An integrated wearable microneedle array for the continuous monitoring of multiple biomarkers in
interstitial fluid
- URL: https://www.nature.com/articles/s41551-022-00887-1
Abstract
Implementations of wearable microneedle-based arrays of sensors for the monitoring of multiple biomarkers in interstitial fluid have lacked system integration and evidence of robust analytical performance. Here we report the development and testing of a fully integrated wearable array of microneedles for the wireless and continuous real-time sensing of two metabolites (lactate and glucose, or alcohol and glucose) in the interstitial fluid of volunteers performing common daily activities. The device works with a custom smartphone app for data capture and visualization, comprises reusable electronics and a disposable microneedle array, and is optimized for system integration, cost-effective fabrication via advanced micromachining, easier assembly, biocompatibility, pain-free skin penetration and enhanced sensitivity. Single-analyte and dual-analyte measurements correlated well with the corresponding gold-standard measurements in blood or breath. Further validation of the technology in large populations with concurrent validation of sensor readouts through centralized laboratory tests should determine the robustness and utility of real-time simultaneous monitoring of several biomarkers in interstitial fluid.