2024-01-12 京都大学
松本智裕 生命科学研究科教授、高堂将広 同研究員、近重裕次 情報通信研究機構研究マネージャー(現:同嘱託)、山本孝治 同研究員らの研究グループは、Wee1キナーゼが動原体と紡錘糸との接続を安定化することで、染色体の均等分配に重要な機能を果たすことを見出しました。Wee1キナーゼは、細胞の成長、DNAの複製・修復が完了するまで有糸分裂の開始を遅らせることが約50年前から知られていました。今回の研究では、酵母の生細胞を顕微鏡観察することにより、Wee1キナーゼを欠く細胞では、動原体が紡錘糸から頻繁に離れてしまうこと、さらに、この不具合の修正のために、スピンドルチェックポイントと呼ばれる監視機構による「時間稼ぎ」が必要であることが新たに分かりました。Wee1キナーゼの阻害剤は、抗癌剤として注目されています。今回の研究結果を応用することにより、Wee1阻害剤に過敏な癌細胞を選択したり、他の薬剤と組み合わせたりすることで、より効果的な抗癌剤療法を開発できることが期待されます。
本研究成果は、2024年1月3日に、国際学術誌「Open Biology」にオンライン掲載されました。
詳しい研究内容について
Wee1キナーゼの新たなる機能の発見―抗癌剤治療の新基軸の提言―
研究者情報
研究者名:松本 智裕