乳児における鶏卵・牛乳・小麦のアレルギー誘発用量が明らかに 〜乳児期の症状誘発リスクを検討した初めての報告〜

ad

2024-02-28 国立成育医療研究センター

国立成育医療研究センター(所在地:東京都世田谷区大蔵 理事長:五十嵐隆)アレルギーセンターの髙田数馬、福家辰樹、山本貴和子、大矢幸弘らの研究グループは、乳児期の鶏卵・牛乳・小麦アレルギーにおいて、どのくらいの量を摂取すれば症状がでるのかという閾値について解析を行いました。
本研究では、鶏卵(固ゆで卵白)・牛乳・小麦(うどん)のそれぞれの食物経口負荷試験で、食物アレルギーと診断された乳児を含む子どもを対象にデータ解析し、アレルギー症状の誘発用量=ED05(eliciting dose)[1]を導き出しました。その結果、乳児における鶏卵のED05は28.6mg (ゆで卵白に換算すると約0.25g)、牛乳のED05は6.1mg (牛乳に換算すると約0.18mL)、小麦のED05は27.7mg (ゆでうどんに換算すると約1.1g)でした。これまでED05を含めたアレルギー症状の誘発リスクの推定は、「小児」「成人」「年齢不詳」を含む不均一な集団における研究結果からの報告のみで、年代で分けて比較検討した研究はなく、本研究は乳児期における症状誘発リスクに特化した初めての報告となります。
この研究成果は、ヨーロッパ臨床免疫アレルギー学会(EAACI)が発行する国際的な学術誌「Allergy」誌に掲載されました。
[1] ED05:すでに、ある食品に対して食物アレルギーを発症している患者さんのうち、全体の5%にのみ症状が誘発される摂取量。食品安全に関するリスク評価の国際的な専門家会合において、アレルゲン含有量の参照用量として採用され、症状誘発リスクが低いとされる曝露量の目安です(ただし、ED05は単に安全という意味ではなく、あくまで低リスクの目安であることに注意が必要です)。ED05はタンパク量としてmgで示され、例えば、ゆで卵白1gに含まれているタンパク量は105mgとされています。

乳児における鶏卵・牛乳・小麦のアレルギー誘発用量が明らかに 〜乳児期の症状誘発リスクを検討した初めての報告〜

プレスリリースのポイント

  • 本研究では、12か月以下の乳児におけるアレルギー症状の誘発用量(ED05)およびリスクを解析するとともに、乳児と2〜15歳のそれぞれのED05を比較しました。
  • その結果、乳児における鶏卵のED05は28.6mg (ゆで卵白に換算すると約0.25g)、牛乳のED05は6.1mg (牛乳に換算すると約0.18mL)、小麦のED05は27.7mg (ゆでうどんに換算すると約1.1g)でした。(グラフ1)
  • また、特に乳児期では月齢が進むにつれED05が低くなる傾向を示し、アレルゲンとなりやすい食品を離乳期に開始するにあたっては、遅くなればなるほど安全域が低くなる可能性が示されました。(グラフ2)
  • 本研究は、乳児期におけるアレルギー症状の誘発リスクに特化した世界で初めての報告となります注意:本研究の解析対象者は、すでに食物アレルギーと診断された乳児であり、すべての方に当てはまる結果ではありません。発症が疑われるお子さんが実際に摂取を進める場合は、自己判断で開始をするのではなく、必ず医師の管理の下で行ってください。

月齢と各食物のED05の関係

研究概要

<対象>
国立成育医療研究センターで、鶏卵(固ゆで卵白)、牛乳、小麦(うどん)のそれぞれの食物経口負荷試験で、食物アレルギーと診断された12か月以下の乳児と、2歳~15歳の子ども。
<人数>
鶏卵897人、牛乳646人、小麦343人(※このうち12か月以下の乳児は、鶏卵197人・牛乳109人、小麦91人)。
<研究内容>
それぞれのお子さんの食物経口負荷試験のデータを解析し、全体の5%の人にのみ症状が現れる「アレルギー症状の誘発用量=ED05」を導き出しました。

発表論文情報

題名:Quantitative risk assessment of egg-white, milk and wheat in infants
著者名:髙田数馬 福家辰樹 荻田博也 平井聖子 豊國賢治 山本貴和子 大矢幸弘
所属名:国立成育医療研究センター アレルギーセンター
掲載誌:Allergy
DOI:10.1111/all.15991

本件プレスリリースのPDFダウンロード

本件に関する取材連絡先
国立成育医療研究センター 企画戦略局 広報企画室
医療・健康
ad
ad
Follow
ad
タイトルとURLをコピーしました