2024-10-29 医薬基盤・健康・栄養研究所
国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所(大阪府茨木市、理事長:中村祐輔)生体機能分子制御プロジェクト・サブプロジェクトリーダーの飯島則文らは、国立病院機構北海道医療センター、大阪大学大学院歯学研究科らと共同で、実験的自己免疫疾患が誘導される条件で活性化する、病原性 CD4 陽性 T 細胞(CXCR6陽性、SLAMF6陰性) にのみマイクロ RNAの一種である 『miR-147-3p』 が高発現し、このマイクロ RNA が『CXCR3』などのケモカイン受容体の発現を制御することにより、自己免疫疾患の病態発現に大きく影響を与えることを発見しました。
【研究成果のポイント】
- 神経細胞の軸索に発現する自己抗原+結核菌死菌+不完全フロイントアジュバントを接種したマウスの所属リンパ節で、自己反応性CD4 陽性 T 細胞がマイクロ RNA『miR-147-3p』を高発現していることを発見しました。
- 同マウスではまた、脳組織に浸潤する活性化CD4 陽性 T 細胞群 (CXCR6陽性・SLAMF6陰性、CXCR6陽性・SLAMF6陽性及びCXCR6陰性・SLAMF6陽性)のうち、自己の細胞を攻撃し、さまざまな疾病を引き起こすと考えられる病原性を有するCXCR6陽性・SLAMF6陰性細胞群においてのみ、マイクロRNA『miR-147-3p』が高発現することを発見しました。
- (CRISPR/Cas9 システムを用いた)遺伝子編集により病原性 CD4 陽性 T 細胞に発現するマイクロRNA『miR-147-3p』の発現を抑制すると、ケモカイン受容体『CXCR3』の発現が上昇し、自己免疫疾患の発症を抑制できました。
【今後、期待されること】
今後、病原性 CD4 陽性 T 細胞に発現するマイクロRNA『miR-147-3p』が ケモカイン受容体『CXCR3』を制御するメカニズムを解明することで、マイクロRNA『miR-147-3p』を標的とした自己免疫疾患に対する新たな治療薬の開発に繋がることが期待されます。
本研究成果は2024年10月11日に『Journal of Autoimmunity』にオンライン掲載されました。
ウェブサイト:https://doi.org/10.1016/j.jaut.2024.103319
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