ニホンザルのオスにおける優劣順位に応じた猿団子内位置および接触個体数
2021-02-05 京都大学
石塚真太郎 霊長類研究所研究員は、香川県・小豆島・銚子渓周辺に生息するニホンザルの猿団子について観察を行なったところ、優位なオスほど猿団子の内側を陣取り、多くの個体と接触していることを明らかにしました。
動物の世界では、寒さを凌ぐための行動が数多く知られています。他方これまで同一種の中で、防寒のための行動や、そこから得られる「暖」の量の個体差については、十分に調べられてきませんでした。そこで本研究では、集団内に厳格な順位序列が存在することで知られるニホンザル(Macaca fuscata)を対象とし、オスの順位と猿団子内の位置、および接触個体数の関係を分析しました。その結果、高順位のオスほど猿団子の内側を陣取り、多くの個体と接触していることがわかりました。ニホンザルのオスにとって集団内で高順位を得ることは、多くの食物や繁殖機会を得るだけでなく、効率良く寒さを凌ぐことにもつながっていると考えられます。
本研究成果は、2021年1月29日に、国際学術誌「Behavioural Processes」のオンライン版に掲載されました。
図:猿団子の内側を陣取る第1位オス(内側で大きく口を開けている個体)
研究者情報
研究者名:石塚真太郎
メディア掲載情報
産経新聞(2月5日 20面)および日本経済新聞(2月5日 34面)に掲載されました。