細胞プロテオミクスやタンパク質構造解析のための画期的サンプル処理法の開発
2022-03-03 愛媛大学
概要
質量分析は医学や農学の分野で広く利用されているタンパク質の優れた分析法ですが、細胞や組織サンプルの解析には複雑で時間のかかる前処理が必要です。愛媛大学学術支援センターの武森信曉講師は、かずさDNA研究所との共同研究により、質量分析のためのサンプル前処理の時間を大幅に短縮する画期的な手法「AnExSP」を開発しました。
AnExSP法を用いることで、従来法では20時間以上かかっていたサンプル前処理を、最短90分まで短縮することが可能になります。またAnExSP法は専門性の高い高度な実験技術を用いることなく、微量な細胞サンプルから損失を抑えた再現性の高い細胞内タンパク質分析を可能にします。研究チームは現在までに、 AnExSP法を高感度な質量分析システムと組み合わせることにより、ヒト培養細胞から抽出した1マイクログラムのタンパク質成分を用いて約7000種類のタンパク質を検出することに成功しており、将来的には医学分野で近年関心が高まっているシングルセル(単一細胞)解析にも利用できる可能性があります。
本研究は2022年1月18日に英国王立化学会のChemical Communications誌に掲載されました。
掲載誌:Chemical Communications
DOI:10.1039/D1CC05529A
題名:Bottom-up/cross-linking mass spectrometry via simplified sample processing on anion-exchange solid-phase extraction spin column
著者:Ayako Takemori, Yusuke Kawashima and Nobuaki Takemori
責任著者:武森信曉(愛媛大学)
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