東京大学

有機化学・薬学

サルモネラ菌の休眠・薬剤耐性に関与するタンパク質の機能を解明

病原性細菌の一種であるサルモネラ菌(Salmonella Typhimurium)のパーシスター細胞の形成誘導に関与するTacTタンパク質が、特定のアミノアシルtRNA注1)をアセチル化修飾し、それによりタンパク質合成を阻害する分子機構を明らかにしました。
有機化学・薬学

光合成色素を使って近赤外蛍光タンパク質を明るくすることに成功

近赤外蛍光タンパク質iRFPの発色団として、今まで知られていたビリベルジンだけではなく、光合成色素として知られるフィコシアノビリンが使用できることを新たに発見しました。ビリベルジンよりもフィコシアノビリンを用いた方が、iRFPの蛍光が明るくなることがわかりました。ビリベルジンやフィコシアノビリンを代謝により合成することができない分裂酵母細胞においても、それらの色素の合成酵素を発現させることでiRFPの蛍光強度を増強させることに成功しました。
生物化学工学

骨格筋の分化に働く新たな染色体基盤構造体を解明

マウス(Mus musculus)の新規ヒストンH3mm18を含むヌクレオソーム構造をクライオ電子顕微鏡解析により世界で初めて解明しました。H3mm18が不安定で弛緩したヌクレオソームを形成すること、そしてH3mm18の発現が筋分化に重要な遺伝子の発現を制御することを明らかにしました。
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生物工学一般

化石種を一挙に9種発見:クモヒトデが新たな環境指標生物となる可能性

棘皮動物の仲間であるクモヒトデ類の体を構成する数ミリの骨片の化石から種を同定し、インド-西太平洋地域で初めて、単一の地層における化石クモヒトデ相の解明に成功した。これまで国内では骨片化石の記録はほとんどなかったが、神奈川県三浦半島に分布する後期更新世の地層(横須賀層)より、一挙に9種が得られた。
医療・健康

感染やワクチンにおける免疫記憶に必須なB細胞シグナル因子を発見

感染症やワクチンで抗体をつくるB細胞が免疫を長期にわたって記憶するために必須の分子とそのメカニズムを解明しました。B細胞の抗体応答の抗原特異性や長期記憶を司る胚中心B細胞の形成において、細胞内シグナル分子である「TBK1」が必須であることをマラリア感染とワクチン免疫の動物モデルで証明しました。
生物工学一般

コアプロモーターを介した転写バースト制御メカニズムを解明

DNAからタンパク質の設計図となるmRNAを合成する転写反応の制御において中心的な役割を担うのは、コアプロモーターやエンハンサーと呼ばれるゲノム中の調節領域です。転写制御におけるコアプロモーターの働きを生きたショウジョウバエ初期胚において直接可視化するライブイメージング技術を新たに開発しました。
生物工学一般

RNAヘリカーゼVasaの働く様子を1分子可視化

RNAヘリカーゼVasaが働く様子を1分子可視化し、切断されたRNAを引きはがす際に、Vasaがオリゴマー化して機能すること、またその過程は不均一であることを明らかにしました。今までVasaが1分子レベルで働く様子が可視化されたことはなく、ヘリカーゼ活性の仕組みの一端を明らかにしました。
有機化学・薬学

補酵素NADとSAMを縮合する画期的な新奇酵素の発見

アルテミシジン生合成経路を同定し、その生合成中の初発反応として、補酵素β-NADとSAMを基質として受け入れ、二回のC-C結合形成により、ジヒドロアザインダン生成物を与える新規生合成酵素SbzPを同定しました。生体内での酸化反応の補酵素として広く知られているβ-NADを、天然物の基本骨格生合成反応の基質として受け入れ、生成物を与える酵素としては、最初で唯一の報告になりました。
医療・健康

血小板で新型コロナの重症化リスクを予測

COVID-19における微小血栓の形成過程を理解するために東大病院に入院したCOVID-19患者(110名)から採取した血液を詳しく調べた結果、全患者の約9割において、過剰な数の循環血小板凝集塊が存在することを世界で初めて発見した。また、その循環血小板凝集塊の出現頻度とCOVID-19患者の重症度、死亡率、呼吸状態、血管内皮機能障害の程度に強い相関があることを発見した
医療・健康

全ゲノム解析等の網羅的ゲノム解析による消化器神経内分泌がんの病態解明

日米欧のサンプルを用いて全ゲノム解析等の解析を行い、難治がんである消化器神経内分泌がん(NEC)を対象に、その発がんメカニズムを解明しました。
生物工学一般

光で狙いを定めて細胞の生み出す力を弱める技術を開発

光遺伝学の技術を応用することで、光照射により細胞の出す力を弱める新たなツール(OptoMYPT)を開発しました。さらに、OptoMYPTを用いてカエル胚の細胞間ではたらく力や、培養細胞における細胞質分裂中の力を操作できることを示しました。本研究のような光を用いた力の操作技術を駆使することで、将来的にはアクチン細胞骨格の関与する様々な発生学的・細胞生物学的現象の理解や、人工臓器の自在なデザインなど、基礎研究から臨床応用まで多面的に貢献することが期待されます。
有機化学・薬学

ジヒドロ-β-アガロフラン類:オイオニミンとオイオニミノールオクタアセテートの全合成

炭素骨格上にすべての酸素官能基を有する3環性化合物を共通中間体として設計し、分子の三次元構造を利用した立体選択的な結合形成反応を精密に組み合わせた効率的合成と、今回確立した14員環構造構築法により、オイオニミノールオクタアセテートおよび世界初のオイオニミンの不斉全合成を実現しました。
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