東京大学

生物化学工学

口を使った細胞の移動 – アクチン波による細胞外形状情報の読み取り

アメーバ細胞の変形を引き起こす、アクチン骨格系の進行波の生成と伝播が曲面上において特異なふるまいを示すことを観測と定量的な解析から明らかにした。細胞による地形感知のメカニズムとして、曲面上を進行する波のパターンとそれに付随して生じるカップ型の膜構造を介した、新たな機構を提唱した。地形感知の機構は、生体内など複雑な形状の足場における、細胞の変形や移動の仕組みの理解に資する。 発表概要
医療・健康

ウイルスによる細胞のストレス応答抑制機構の解明~ウイルスタンパク質による神経保護治療の可能性を探る~

宿主細胞のストレス応答を逃れて増殖するウイルスの分子機構を解明し、この分子機構を応用することで神経細胞の変性を抑制できることを示しました。細胞がウイルス感染を検知して翻訳を止める「ストレス応答経路」の解明や、ストレス応答経路が病態に深く関与している神経変性疾患の治療法の開発につながるものと期待できます。
有機化学・薬学

細胞外乳酸バイオセンサーの開発

緑色蛍光タンパク質(GFP)及びタンパク質工学の手法を用いることで、細胞外の乳酸動態を緑色蛍光で低侵襲に可視化可能なバイオセンサーeLACCO1.1を世界に先駆けて開発しました。
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細胞遺伝子工学

ゲノム立体構造のさまざまな特徴量を抽出する新規手法を開発~ゲノムにひそむ重要な機能領域の同定~

Hi-C法はゲノム立体構造情報を全ゲノム的に得ることができる強力な手法です。一方でこの方法は計算量が多大である、二次元ヒートマップの可視化による視覚的な比較に頼らざるを得ない、エピゲノムデータとの統合が難しい等の問題点がありました。Hi-Cデータから多種多様な一次元特徴情報を効率的に抽出可能な新規手法 “HiC1Dmetrics”を開発しました
医療・健康

脂肪細胞が「できる・できない」を決めるエピゲノムを解明~タンパク質複合体の「いつ・どこに・どのように」が鍵~

体の中には脂肪細胞になる前の前駆脂肪細胞が存在し、前駆脂肪細胞から脂肪細胞が「できる・できない」を決めるエピゲノムの仕組みを解明しました。タンパク質複合体の「いつ・どこに・どのように」あるかが、脂肪を蓄える遺伝子の働きを調節していることが明らかとなりました。
医療・健康

アストロサイトが担うシナプス制御メカニズムを発見~GluN2C-NMDA受容体がシナプス強度分布幅を拡大する~

脳内のアストロサイトに発現するグルタミン酸受容体の一つであるGluN2C-NMDA受容体が、海馬の神経細胞間の情報の伝わりやすさを調整することを発見しました。
医療・健康

SARS-CoV-2デルタ株に特徴的なP681R変異は ウイルスの病原性を増大させる

新型コロナウイルスの「懸念される変異株(VOC)」のひとつである「デルタ株(B.1.617.2系統)」が、従来株に比べて病原性が高いことを明らかにしました。デルタ株のスパイクタンパク質の細胞融合活性は、従来株や他の変異株に比べて顕著に高く、その活性は、スパイクタンパク質のP681R変異によって担われていることを明らかにしました。そして、P681R変異を持つ新型コロナウイルスを人工合成し、ハムスターを用いた感染実験を実施した結果、P681R変異の挿入によって、病原性が高まることを明らかにしました。
生物環境工学

東日本大震災の津波が長寿二枚貝ビノスガイの大量死に関与していたことを殻の分析から推定

岩手県船越湾の海底から採取された長寿二枚貝ビノスガイの死殻の年輪解析と放射性炭素年代測定から、2011年3月11日に発生した津波が、ビノスガイの大量死を招いていたことを明らかにしました。
生物工学一般

外乱に対する予測的姿勢制御の神経メカニズムを解明~ラットは1秒未来の自己の姿勢を予測~

運動時に身体に加わる外乱(乱れの原因となる外部からの力)を予測して姿勢を制御・安定化する神経のメカニズムを明らかにするため、ラットを用いた新規の姿勢実験課題を構築するとともに数理シミュレーションを行いました。床が傾斜する外乱に十分に適応学習したラットは、約1秒未来までの間に自分自身がどう動くかを計算しながら、それが目標とする動きに一致するよう発揮筋力を計算していることが示唆されました。
医療・健康

胞小器官同士が接する微小空間の新しい機能を発見

近年、細胞小器官同士は部分的に接していることがわかり始め、この細胞小器官同士が近づいて作られる微小空間(膜接触部位)で脂質が交換されていること、そしてこの脂質の交換によって細胞小器官の膜の分裂が制御されていることを突き止めました。
生物化学工学

脳は記憶を力で刻む ~シナプスの力と圧感覚による新しい伝達様式の発見~

長期記憶が形成される際、大脳のシナプスにおいて樹状突起スパインが増大することが知られていたが、このスパインの動きが、筋肉収縮と同程度の力でシナプス前部を押すことにより、伝達物質放出を増強する効果(圧感覚)を持つことを見いだした。シナプスにおける情報伝達様式として、化学伝達と電気伝達の2種類の様式が知られてきた。今回、スパイン増大と圧感覚を介した力学的伝達という新しい第3の様式を発見した。
細胞遺伝子工学

多細胞個体の「老化死」を獲得する複数の進化経路~4つの体細胞を持つ稀産緑藻アストレフォメネの全ゲノム解読から解明~

体細胞をボルボックスとは独立に獲得した多細胞緑藻アストレフォメネの全ゲノム解読と解析を行ない、体細胞分化に関わる遺伝子群を解析しました。ボルボックスで明らかとなっていた体細胞分化遺伝子をアストレフォメネが持たないにも関わらず、体細胞の遺伝子発現パターンが両種で類似していることを明らかにしました。
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