東京大学

有機化学・薬学

世界初・医師主導治験によって、リツキシマブが全身性強皮症に対する薬事承認を取得

全身性強皮症に対する新たな保険適用の治療薬として、リツキシマブを用いることが可能となった。リツキシマブは全身性強皮症の原因の一端と考えられているB細胞(注2)を除去する作用を持ち、従来の全身性強皮症治療薬と比較して、より根本的な治療薬である可能性がある。
生物化学工学

数理で読み解く細胞の飲み食い 〜細胞の口(くち)のつくりかた〜

細胞の「口」である、マクロピノサイトーシス(飲作用)におけるカップ状の細胞膜変形とその閉包の基本形を数理モデルにより記述し、シミュレーションにはじめて成功した。カップ形成とその閉包は、反応拡散ダイナミクスによるパターン形成から説明できることが明らかになった。
医療・健康

アトピー性皮膚炎の尿中バイオマーカーの発見

アトピー性皮膚炎のモデルマウスの尿には、脂質の代謝産物である13,14-dihydro-15-keto-tetranor-PGF1αや13,14-dihydro-15-keto-tetranor-PGE2、13,14-dihydro-15-keto PGJ2が排泄されており、この濃度は症状の悪化に伴って増加した。このモデルマウスの皮膚を観察し、炎症を起こした皮膚の細胞(ケラチノサイト)が、これらの脂質の産生元になっていることが分かった。アトピー性皮膚炎患者さんの尿中にも、上記の脂質が多く排泄されていることが分かった。
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医療・健康

国際バイオバンク連携によるヒト疾患リスク遺伝子アトラスを構築

バイオバンク・ジャパン18万人のゲノムデータを基に過去最大220の健康・医療データ(多因子疾患・希少疾患・バイオマーカー・服薬データ)に対する網羅的ゲノムワイド関連解析(GWAS)を実施。国際バイオバンク連携によりイギリス・フィンランドのバイオバンクと計63万人のメタアナリシスを実施し、5,000以上の新規遺伝的リスク関連領域を発見。GWAS結果を公開するデータベースPheWeb.jpを構築し、データシェアリングを推進。
医療・健康

ドーパミン異常と学習・記憶の関係を表す計算モデルの開発に成功

ドーパミンの情報伝達におけるアクセルとブレーキのバランスの崩れが、学習・記憶に異常をもたらすことを計算モデルを用いて示した。
生物化学工学

光合成を人為的に制御できるか 脂肪酸によって光合成活性が変化する仕組みを解明

微細藻類や植物の光合成活性を阻害してしまう物質として、微細藻類自体が産生する脂肪酸に含まれる多価不飽和脂肪酸が知られており、その阻害作用の分子メカニズムを解明した。遊離した多価不飽和脂肪酸が、光合成の場であるチラコイド膜にある主要なリン脂質であるホスファチジルグリセロールに特異的に取り込まれることで、光合成装置を不安定化して失活させることを明らかにした。
医療・健康

光電変換色素NK-5962の神経保護効果を発見!

岡山市の株式会社林原(NAGASEグループ)が製造する光電変換色素NK-5962は光電変換色素を結合したポリエチレン薄膜の人工網膜(光電変換色素薄膜型人工網膜OURePTM)の部材です。NK-5962の薬物体内動態を調べ、NK-5962の静脈注射によって効果を発揮する十分量の眼球内濃度が得られることが分かった。
生物工学一般

制御サブユニットによるイオンチャネル巨大複合体のモジュレーション機構を解明

神経細胞や心臓の電気活動に必須の役割を果たす電位依存性カリウムチャネル Kv4.2と2種類の制御サブユニット KChIP1、DPP6Sからなる巨大複合体の立体構造を明らかにした。KChIP1とDPP6SがKv4.2の電気生理学的特性を適切に調整する機構を初めて明らかにした。
有機化学・薬学

合成アルカリゲネス菌リピドAの優れたアジュバント活性を証明

ヒトやマウスの腸管関連リンパ組織の内部に共生し、免疫活性化を行うアルカリゲネス菌の菌体成分であるリピドAの化学合成法を確立し、アジュバントとして用いた際の免疫系に対する作用を調べた。注射型ワクチンとしてだけでなく粘膜免疫の誘導が可能な経鼻型ワクチンにおいても、炎症などの副反応をほとんど起こさずにワクチン抗原に対する免疫応答を高めることができる効果が示されました。
医療・健康

小児肝がん(肝芽腫)の発生機序を解明

日本小児肝癌スタディグループで行ってきた全国多施設共同臨床試験JPLT-2試験に登録され治療された小児肝腫瘍のうち同意を得て治療開始する前の検体163例を用いて、がん組織の遺伝子全体の変異や変化を検索した。肝芽腫(HB)には性質が異なるいくつかのサブグループが存在する。乳幼児に多くみられる典型的な肝芽腫(HB)では、腸管上皮の幹細胞で重要な転写因子であるASCL2の遺伝子発現が脱メチル化によって亢進している。肝芽腫(HB)症例の予後予測に有用である新しいメチル化マーカーを見出した。
有機化学・薬学

細胞外小胞の新しい捕捉方法を開発~ナノワイヤによって捕捉する細胞外小胞を、がん診断の新しい指標へ~

細胞外小胞(EV)の新しい捕捉方法を開発し、当該方法で捕捉するEVのmiRNA(マイクロRNA)や膜たんぱく質の発現量が、がん診断の新しい指標として利用可能であることを発見した。
生物環境工学

果物が追熟するのは何のため? ~見逃されていた生態学的意義を初めて検証~

収穫したあとも成熟が続く果物(追熟型果実)と収穫後は成熟しない果物(非追熟型果実)の違いが生まれた進化的な仮説を提案した。80種の果物を対象にした文献調査で、追熟型果実は地上徘徊性の動物に、非追熟型果実は樹上性の動物に食べられ種子散布される傾向があることを見つけた。
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