2022-07-29 東京大学医学部附属病院
血管奇形は異常血管が集合し形成されるもので、全身に生じ様々な臓器の機能障害をきたしうる疾患です。外科的・内科的治療を組み合わせた治療が行われるものの依然根治が困難な症例も多く、重症例は厚生労働省の指定難病として対策が求められています。
この度、東京大学医学部附属病院脳神経外科の本郷博貴助教、宮脇哲講師、齊藤延人教授らの研究グループは、東京大学大学院医学系研究科衛生学分野の石川俊平教授、東京大学大学院医学系研究科分子神経学の辻省次特任教授(研究当時)、東京医科大学臨床医学系眼科学分野の後藤浩主任教授、東京医科大学基礎社会医学系人体病理学分野の長尾俊孝主任教授、大阪大学大学院生命機能研究科パターン形成研究室の渡邉正勝准教授、東京大学医学部附属病院形成外科・美容外科の栗田昌和講師、岡崎睦教授、東京大学大学院新領域創成科学研究科大規模オーミクス解析分野の森下真一教授、東京大学大学院医学系研究科人体病理学・病理診断学分野の牛久哲男教授、東京大学大学院農学生命科学研究科動物細胞制御学研究室の高橋伸一郎教授らのグループと共同で、眼窩内海綿状血管奇形を含めた様々な血管奇形の遺伝子解析や血管内皮細胞などを用いた実験を行うことにより、眼窩内海綿状血管奇形にGJA4という遺伝子の体細胞変異が高頻度に同定されること、この変異がヘミチャネルの活性亢進につながる機能獲得型変異として血管内皮細胞機能を障害することを世界で初めて示しました。本研究成果により、血管奇形の発症に関わるメカニズムの解明や血管奇形に対する新たな治療法の開発につながることが期待されます。
本研究結果は、日本時間7月29日に専門誌「Angiogenesis」のオンライン版に掲載されました。