不眠症治療薬が結合したオレキシン受容体の構造を決定~立体構造から合理的新規治療薬開発へ向けて~

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2022-12-02 京都大学

浅田秀基 医学研究科特定准教授、林到炫 同助教、岩田想 同教授らは、安田賢司 千葉大学特任准教授、村田武士 同教授、寿野良二 関西医科大学講師らと共同で、不眠症治療薬であるデエビゴ(一般名:レンボレキサント)が結合したオレキシン2受容体(OX2R)の立体構造を解明しました。

OX2Rは、オレキシンAやBと呼ばれる神経ペプチドと結合することで睡眠、覚醒サイクルを維持・制御する重要な受容体です。そのため、OX2Rは不眠症治療薬の重要な標的となっています。これまで、不眠症治療薬であるベルソムラ(一般名:スボレキサント)が結合したOX2Rの構造は明らかになっていましたが、レンボレキサントが結合した構造は未知のままでした。今回、レンボレキサントとスボレキサントが結合した構造を比較することで、不眠症治療薬の効果の違いを分子レベルで明らかにすることに成功しました。今回の結果は、治療効果の違いを立体構造から明らかにし、不眠症治療薬の効果的な設計に対する理解をより深めることが期待されます。

本研究成果は、2022年11月22日に、国際学術誌「Structure」にオンライン掲載されました。

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不眠症治療薬レンボレキサントがオレキシン受容体に結合する様子

研究者のコメント

「不眠症は国民の1/5が悩む症状ですが、現在は良い薬の開発によりその症状を抑えることが可能になりつつあります。しかし、副作用の点などまだまだ多くの改善点が存在するのも事実です。私たちは不眠症の発症メカニズムを原子レベルで解明することで不眠症治療に貢献したいという思いで研究を行ってきました。今回、不眠症治療薬であるレンボレキサントが結合したOX2Rの構造を決定したことで、原子レベルで「見る」ことでしか分からないことを知ることに成功しました。この構造を決定するためには、結晶化技術やX線回折実験を行うための大型放射光施設の利用など、様々な技術を取り入れる必要がありました。しかし、何よりも本研究に携わった方々の尽力なくしてこの結果は得られなかったと思います。今後はこの結果を基に不眠症の分子メカニズムの詳細を明らかにしたいと考えています。」

詳しい研究内容≫

研究者情報
研究者名:浅田 秀基
研究者名:林 到炫
研究者名:岩田 想

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有機化学・薬学
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