2023-02-28 京都大学
メドゥーサウイルスは、緒方博之 化学研究所教授、武村政春 東京理科大学教授、村田和義 自然科学研究機構教授らの研究グループが2019年に日本の温泉水から分離した新しい巨大ウイルスで、その複製やゲノムにはほかのウイルスにはない特徴があり、真核生物の起源と関わりがあることが示唆される進化系統学的に極めて興味深いウイルスです。その後、同研究グループにより、2021年にゲノムが非常によく似ており、姉妹株であると判断されるメドゥーサウイルス・ステノを京都の川から分離することに成功しました。
そこで同研究グループは、ICTV(国際ウイルス分類委員会)に対し、これらメドゥーサウイルスのゲノム解析の結果をもとに、メドゥーサウイルスが属する新しい科(マモノ(魔物)ウイルス科)を提案した上で、域:Realm Varidnaviria(ヴァリドナウイルス域)/界:Kingdom Bamfordvirae(バムフォードウイルス界)/門:Phylum Nucleocytoviricota(核細胞質性ウイルス門)/綱:Class Megaviricetes(メガウイルス綱)/科:Family Mamonoviridae(マモノ(魔物)ウイルス科)/属:Genus Medusavirus(メドゥーサウイルス属)/種:Medusavirus medusaeならびにMedusavirus sthenusとして登録することを提唱しました。
本研究成果は、2023年2月5日に、国際微生物学連合ウイルス部会の公式ジャーナル「Archives of Virology」にオンライン掲載されました。
研究者のコメント
「本研究を含む近年の研究成果により、メドゥーサウイルスは巨大ウイルスの中で特別な存在であることを解明しました。今後は、メドゥーサウイルスが細胞に感染する際、ヒストン蛋白質の仕組みを明らかにしたいと考えています。」(張瑞軒)
研究者情報
研究者名:緒方 博之