ポドサイトにおけるGC-Aとp38 MAPKの欠損はアルドステロンによる腎障害を増悪させる-ポドサイト~内皮連関におけるPAI-1の関与~

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2023-07-20 京都大学

慢性腎不全患者は全世界で増加傾向を示しています。我が国でも慢性腎不全の患者は増え続け、慢性腎不全となるリスクが高い慢性腎臓病(CKD)患者は1,330万人とされています。腎臓には血液をろ過する糸球体という毛細血管による網目状構造物があります。またポドサイトとは糸球体毛細血管を覆うように存在し、蛋白尿に対するバリアー機能を果たす細胞で、毛細血管の内皮細胞と協調して恒常性を維持しています。

横井秀基 医学研究科講師、柳田素子 同教授、杉岡清香 同助教らは、ナトリウム利尿ペプチドANPとBNPの受容体であるGC-A(グアニル酸シクラーゼA)及びその下流にあるp38 MAPK(p38分裂促進因子活性化タンパク質キナーゼ)の両者をポドサイトで欠失させることにより、アルドステロンと高塩負荷によるポドサイト障害が増悪することを見出しました。p38 MAPKはサイトカインやショックなどのストレス刺激に応答するMAPKであり、細胞の分化やアポトーシス(プログラム化した細胞死)に関与しています。またGC-Aとp38 MAPK欠損による著明なポドサイト障害は、糸球体毛細血管内に血栓を伴う内皮細胞障害も引き起こし、その腎障害がPAI-1阻害により改善することを明らかにしました。

本研究成果は、2023年6月23日に、国際学術誌「Kidney International」にオンライン掲載されました。

ポドサイトにおけるGC-Aとp38 MAPKの欠損はアルドステロンによる腎障害を増悪させる-ポドサイト~内皮連関におけるPAI-1の関与~ポドサイト特異的GC-Aおよびp38 MAPKのダブルノックアウトマウスはアルドステロン、高塩負荷により多量の蛋白尿を伴うポドサイト障害と糸球体毛細血管内血栓を伴う内皮障害を発症し、中和抗体によるPAI-1阻害で改善が認められ、新規治療候補となり得る。

研究者のコメント

「慢性腎臓病は画期的な治療薬に乏しく加齢とともに進行性であるため、新規治療方法の確立が重要です。蛋白尿を伴う腎障害の場合は、ポドサイトを保護することが腎保護につながると考えられるため、ポドサイト研究をさらに進めたいと考えています。」

詳しい研究内容について

ポドサイトにおけるGC-Aとp38 MAPKの欠損はアルドステロンによる腎障害を増悪させる-ポドサイト-内皮連関におけるPAI-1の関与-

研究者情報

研究者名:横井 秀基
研究者名:柳田 素子

医療・健康
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