2024-04-17 国立循環器病研究センター
国立循環器病研究センター(大阪府吹田市、理事長:大津欣也、略称:国循)循環器病周産期センターで3月、心臓移植後の女性が出産しました。経腟分娩で母児ともに良好な経過をたどり、無事退院されています。
■背景
心臓移植後の分娩は欧米では多く経験されていますが、我が国ではほとんど経験がなく、これまでの記録では3例目となります。産婦人科、移植科が協力して、妊娠前からチームを組みプレコンセプションケア*から分娩まで一貫した管理を行うことで安全に生児を得ることができました。
*プレコンセプションケア:若い世代(女性と夫・パートナー)のためのヘルスケアであり、現在のからだの状態を把握し、将来の妊娠やからだの変化に備えて、自分たちの健康に向き合うこと。成育医療等基本方針においてプレコンセプションケアに関する体制整備を図ることが閣議決定されています。
■今後の展望と課題
心臓移植後の女性でも一定の条件を満たすことで妊娠、分娩は可能な場合があります。今回は妊娠前からの十分なプレコンセプションケア、カウンセリングを経ての妊娠で、妊娠に伴うリスク評価を受け、話し合いの結果、妊娠を希望されました。妊娠後は初期から心機能、拒絶反応の評価のため数回の入院を経て計画的に分娩しています。
心臓移植後の女性で妊娠を希望する場合、プレコンセプションケア、カウンセリングはとても重要です。安全に妊娠、分娩ができる状態であるか、妊娠前に評価し、十分なカウンセリングを行い、意思決定できる環境を提供することから始まり、妊娠後、分娩の管理まで一貫した専門施設による診療が必要だと考えています。 当センターでは、今後も心臓等に病気を抱える女性に対して、安心できる環境を提供して参ります。
【報道機関からの問い合わせ先】
国立循環器病研究センター企画経営部広報企画室