CD4-CD8-ダブルネガティブT細胞が大腸がんを攻撃する免疫を抑えている?~免疫を抑制する細胞に着目した治療法開発に期待~

ad

2024-07-05 医薬基盤・健康・栄養研究所

国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所(大阪府茨木市、理事長:中村祐輔) 難病・免疫ゲノム研究プロジェクトの清谷一馬プロジェクトリーダーらの研究グループは公益財団法人がん研究会 がんプレシジョン医療研究センターおよび 有明病院 消化器外科との共同研究で、大腸がんの組織において、CD4分子もCD8分子も、共に発現していないCD4-CD8-ダブルネガティブT細胞(DNT細胞)が多く存在することを見出しました。さらに、DNT細胞が免疫細胞のがん細胞に対する攻撃を抑えている可能性を明らかにしました。

一般的にT細胞はT細胞受容体(TCR)に加えて、CD4分子もしくはCD8分子のいずれかを発現し、免疫に関わっています。しかし、CD4分子もCD8分子も発現していないDNT細胞も、非常に少ない割合で血液や正常組織に存在していますが、その働きについては今までほとんどわかっていませんでした。

今回の研究では、大腸がん組織中には、免疫器官のひとつであるリンパ節組織中よりも多くのDNT細胞が存在することが確認されました。加えて、このDNT細胞は主にCD8+T細胞から生じていますが、細胞傷害活性(がん細胞等を破壊する働き)をほぼ失っていることを明らかにしました。また、がん組織内のDNT細胞数の割合は、細胞傷害活性を持つT細胞数とは負の相関を示すことから、DNT細胞はがん組織においてがん細胞を攻撃する免疫を抑える因子として働いている可能性が示唆されました。この結果により、DNT細胞を抑えることが、新たな治療法の開発につながると考えています。

本研究成果は、2024年7月5日に国際科学誌「OncoImmunology」に発表されました。

ウェブサイト:https://doi.org/10.1080/2162402X.2024.2373530

詳細は、こちらをご覧ください。

ad
医療・健康
ad
ad


Follow
ad
タイトルとURLをコピーしました