霊長類での感覚運動学習を可能とする大脳皮質運動野の動的活動変化を解明

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2024-08-26 東京大学,理化学研究所

発表のポイント

◆感覚運動学習によって霊長類大脳皮質運動野の神経活動が変化することが知られていますが、個々の運動野領域に特徴的な神経活動の変化や同一神経細胞の活動の変化については明らかになっていませんでした。
◆霊長類コモンマーモセットの運動野を対象としたカルシウムイメージング法を開発することで、新規の感覚運動連合の学習中に背側運動前野で大きな運動情報表現の変化が生じていること、その一方で一次運動野での表現は比較的安定に保たれていることを明らかにしました。
◆これらの知見をもとに、生体脳型の学習を可能にする新規 AI の開発につながることが期待されます。また、今回確立したカルシウムイメージング技術によって疾患モデルマーモセットを対象に神経活動の変動を計測することで病態脳における神経ネットワーク変容の理解が進み、新たな治療方法の開発につながることが期待できます。新規の感覚運動学習による霊長類大脳皮質運動前野・一次運動野での情報表現の変化

霊長類での感覚運動学習を可能とする大脳皮質運動野の動的活動変化を解明

概要

東京大学大学院医学系研究科細胞分子生理学分野の蝦名鉄平講師と松崎政紀教授(理化学研究所脳神経科学研究センター脳機能動態学連携研究チーム チームリーダー、東京大学大学院理学系研究科生物科学専攻教授兼担)、自然科学研究機構生理学研究所の小林憲太准教授、東京大学大学院医学系研究科統合生理学分野の大木研一教授、理化学研究所脳神経科学研究センター高次脳機能分子解析チームの山森哲雄チームリーダー(研究当時、現 触知覚生理学研究チーム 客員主管研究員)、理化学研究所脳神経科学研究センター触知覚生理学研究チームの村山正宜チームリーダーらによる研究グループは、小型霊長類コモンマーモセット(注1)の大脳皮質運動野の神経活動を長期的に高い空間解像度でイメージングする方法を確立することで、新規の感覚運動学習によって高次の運動野である背側運動前野で大きな運動情報表現の変化が生じていること、その一方で低次の運動野である一次運動野での表現は比較的安定に保たれていることを明らかにしました。
本研究の結果は、霊長類脳における感覚運動連合学習のメカニズム解明へつながり、これらの知見を基にした脳型人工知能の開発が期待されます。また、今回確立したイメージング技術によって、疾患モデルマーモセットを対象とした同様の計測を実施することで病態脳における神経ネットワーク変容の理解が進み、神経疾患に対する新たな治療方法の開発が期待できます。

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医療・健康
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