2024-11-25 国立がん研究センター,カーディナルヘルス株式会社
発表のポイント
- 国立がん研究センター東病院とカーディナルヘルス株式会社が近赤外光照射下で蛍光反応を示すNIRC™蛍光尿道カテーテルを共同開発し、同製品が2024年3月に医療機器として承認されました。カーディナルヘルス株式会社は、2024年12月に全国の医療機関への発売開始を予定しています。
- NIRC™蛍光尿道カテーテルを患者の尿道に挿入後、近赤外光カメラで近赤外光を照射すると、体内のカテーテル挿入部位が蛍光反応とともにモニタ上に描出されます。術者はモニタ越しに正確な尿道の位置を確認しながら手術を行うことが可能です。
概要
国立研究開発法人国立がん研究センター(所在地:東京都中央区、理事長:中釜 斉)東病院(病院長:土井 俊彦、千葉県柏市、以下国立がん研究センター東病院)とカーディナルヘルス株式会社(本社:東京都新宿区、社長:野田 良)は、近赤外光照射下で蛍光反応を示すNIRC™蛍光尿道カテーテルを共同で開発しました。
尿道カテーテル
蛍光尿道カテーテルの使用例
白色光画像
近赤外光照射下(青く光っている部分が尿道)
NIRC™蛍光尿道カテーテルを患者さんの尿道に挿入後、近赤外光カメラで近赤外光を照射すると、体内のカテーテル挿入部位が蛍光反応とともにモニタ上に描出されます。直腸がんの手術においては、再発を防ぐため、がんから十分な切除範囲を確保する必要があります。同時に、直腸に近接する尿道損傷による合併症を避けるため、術者は尿道の位置を正確に認識することが重要です。
近年、インドシアニングリーン(ICG)を用いた血流やリンパ管、特定の腫瘍を可視化する蛍光ガイド手術が広まっており、治療成績の向上に寄与することが報告されています。NIRC™ 蛍光尿道カテーテルにはICGに類似した励起波長及び蛍光波長を有する蛍光樹脂が採用されています。近赤外光カメラでカテーテルに近赤外光を照射すると、カテーテルに含まれる蛍光樹脂による発光反応がモニタに描出されます。
カーディナルヘルス株式会社は2019年に同じ蛍光樹脂を使用したNIRC™蛍光尿管カテーテルを開発しており、NIRC™蛍光尿道カテーテルは、カーディナルヘルスにとって2作目となる蛍光カテーテルです。NIRC™蛍光尿管カテーテルは主に大腸や婦人科の手術の際に用いられるのに対し、NIRC™蛍光尿道カテーテルは直腸の手術に用いられます。なお、NIRC™蛍光尿道カテーテルは2024年3月に医療機器として薬事承認されています。
販売名 蛍光尿道カテーテル
一般的名称 単回使用尿管照明用カテーテル
医療機器承認番号 30600BZX00043000
背景(開発の経緯)
高齢化と食生活の欧米化から直腸がんの患者さんは増加しています。特に日本人はS状結腸と直腸にがんができやすいと言われています。今回、カーディナルヘルス株式会社と国立がん研究センター東病院は、NEXT医療機器開発センターの支援のもと、直腸がんの手術の際、術者にモニタ越しに正確な尿道の位置を提示するNIRC™蛍光尿道カテーテルを開発しました。
カーディナルヘルス株式会社は試作品を制作し、国立がん研究センター東病院は製品コンセプトや製品設計へのアドバイスを行いました。
お問い合わせ先
製品に関するお問い合わせ先
カーディナルヘルス株式会社
広報室:森岡 智之
研究に関するお問い合わせ
国立研究開発法人国立がん研究センター東病院
NEXT医療機器開発センター事務局
広報窓口
国立研究開発法人国立がん研究センター
企画戦略局 広報企画室(柏キャンパス)