2024-12-27 京都大学
吉村賢二 医学研究科博士課程学生(現:大阪市立総合医療センター医長)、花川隆 同教授、髙橋良輔 同教授、澤本伸克 同教授らの研究グループは、神経変性疾患の1つであるパーキンソン病における認知機能低下の神経基盤として、2つの独立した神経系の障害が関わっていることを示しました。
本研究グループは、パーキンソン病患者の認知機能、7テスラ頭部磁気共鳴画像法(MRI)構造画像、ドパミントランスポーター単一光子放射線断層撮像を評価しました。その結果、パーキンソン病患者の認知機能障害において、注意力や遂行機能の低下には線条体、特に尾状核へ投射するドパミン神経の障害が関連している一方、記憶力や視覚機能の障害には大脳皮質の萎縮が関連していることを示しました。また、認知機能が保たれているパーキンソン病患者でも後頭葉や頭頂葉に広範な大脳皮質の菲薄化が見られることも示しました。
本研究はパーキンソン病の認知機能障害の神経メカニズムをより詳細に明らかにすることで、薬物療法の開発や病態解明に寄与できると考えられます。
本研究成果は、2024年12月24日に、国際学術誌「European Journal of Neurology」に掲載されました。
研究の結果明らかになった、パーキンソン病患者の認知機能低下における2つの異なる神経基盤とその影響。
詳しい研究内容について
パーキンソン病患者の認知機能低下における複数の神経基盤の解明
研究者情報
研究者名:花川 隆
研究者名:髙橋 良輔
研究者名:澤本 伸克
書誌情報
【DOI】
https://doi.org/10.1111/ene.70022
【KURENAIアクセスURL】
http://hdl.handle.net/2433/291063
【書誌情報】
Kenji Yoshimura, Atsushi Shima, Daisuke Kambe, Koji Furukawa, Akira Nishida, Ikko Wada, Yusuke Sakato, Haruhi Sakamaki-Tsukita, Yuta Terada, Hodaka Yamakado, Yosuke Taruno, Etsuro Nakanishi, Masanori Sawamura, Koji Fujimoto, Yasutaka Fushimi, Tomohisa Okada, Yuji Nakamoto, Takashi Hanakawa, Ryosuke Takahashi, Nobukatsu Sawamoto (2025). Neural substrates underlying distinct dual cognitive syndromes in Parkinson’s disease. European Journal of Neurology, 32, 1, e70022.