長寿遺伝子SIRT1が、 アルツハイマー病の感受性遺伝子APOE4保有者の治療法となりうることを解説

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2025-02-25 国立循環器病研究センター

国立循環器病研究センターの服部頼都:認知症先制医療開発部特任部長・脳神経内科医長、猪原匡史:脳神経内科部長は、アルツハイマー病の疾患感受性遺伝子であるAPOE4に対して、長寿遺伝子SIRT1が抗炎症作用などを介して治療法の一端を担う可能性を提唱した解説を、eBioMeeicine誌に寄稿し、2025年2月7日(日本時間)にオンライン版に掲載されました。

APOE4は、アルツハイマー病の疾患感受性遺伝子として有名であり、保有者は、アルツハイマー病の有病率が高く、発症が早くなることが懸念されています。このAPOE4に関して、服部頼都は、Weill Cornell Medicine在籍時に、げっ歯類などを用いた基礎研究で、APOE4は、脳血管壁や髄膜周辺に存在するマクロファージによって、脳動脈周囲に酸化ストレスを高発現させて、脳血管の機能を障害し、脳血流低下と認知機能低下の原因となることを明らかにしました。加えて、APOE4保有者は、早期アルツハイマー病に対する抗アミロイドβ抗体療法の合併症であるアミロイド関連画像異常(ARIA)注1)を発現しやすく、投与に注意が必要と考えられています。

長寿遺伝子SIRT1は、抗炎症作用や血管拡張作用を介して脳血管壁の健全性を維持し、脳循環を改善することで、認知症の発症やARIAの発現予防に貢献できる可能性があります。そのため、今後の研究の進展が期待されています。

発表論文情報

著者:服部頼都、猪原匡史
題名:Potential therapeutic effects of SIRT1 targeting APOE4-induced microvascular endothelial dysfunction
掲載誌:eBioMedicine
DOL:10.1016/j.ebiom.2025.105594

注釈

注1)アミロイド関連画像異常(ARIA):アルツハイマー病に対する抗アミロイドβ抗体療法の合併症であり、脳浮腫や血液中の蛋白成分の脳内への漏出であるARIA-Eと、脳微小出血や脳表のヘモジデリン沈着である(ARIA-H)に分類されます。

医療・健康
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