コロナ禍での糖尿病コントロールの実態が明らかに

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2025-02-28 京都大学

井上浩輔 白眉センター/医学研究科准教授と米国ハーバード大学(Harvard University)の研究グループは、米国の国民健康栄養調査データを用いて、2021年から2023年の間に糖尿病患者の良好な血糖コントロール率が低下しており、その傾向は特に若者で顕著であることを明らかにしました。

今までの研究により、COVID-19パンデミックにおける医療アクセスの制限や生活習慣の変化が疾患の診断やコントロールに影響を与えることは示されてきましたが、糖尿病の頻度やコントロールが実際どの程度変化したかについては明らかでありませんでした。本研究では、2013年から2023年にかけての米国成人の糖尿病の有病率と血糖コントロールの時系列トレンドを評価しました。結果として2013年から2023年の間に成人の糖尿病の有病率は大きく変わらなかったものの、糖尿病患者における良好な血糖コントロールの割合は2021年から2023年にかけて低下しており、特に若年成人でその傾向は顕著でした。

本研究で認められた糖尿病患者における血糖コントロール不良には、パンデミック禍の運動量の低下、社会的支援の減少、心理的ストレスの高まり、そして医療および薬剤へのアクセスの制限といった理由が考えられます。今後特に若年層を意識した糖尿病コントロールの向上を目指すうえで、本研究結果が重要なエビデンスになることが期待されます。

本研究成果は、2025年2月27日に、国際学術誌「The Journal of the American Medical Association(JAMA)」にオンライン掲載されました。

コロナ禍での糖尿病コントロールの実態が明らかに
糖尿病患者における良好な血糖コントロール率の低下は若年成人で顕著に認められた。

研究者のコメント

「COVID-19パンデミックはすべての人の生活に少なからず影響を与えましたが、糖尿病診療も例外ではなく、その影響が特に若年患者において強いことを示した本研究結果は、社会・臨床にとって重要なエビデンスであると考えています。日本など米国以外の国でも同様の傾向が認められるかについては更なる検討が必要ですが、本研究結果をもとに若年層の糖尿病コントロールの向上を目的とした公衆衛生の取り組み・政策の議論につなげることができれば幸いです。」

詳しい研究内容について

コロナ禍での糖尿病コントロールの実態が明らかに

研究者情報

研究者名:井上 浩輔

書誌情報

【DOI】https://doi.org/10.1001/jama.2024.28513

【書誌情報】
Kosuke Inoue, Michael Liu, Rahul Aggarwal, Lucas X. Marinacci, Rishi K. Wadhera (2025). Prevalence and Control of Diabetes Among US Adults, 2013 to 2023. The Journal of the American Medical Association (JAMA).

医療・健康
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