小児アレルギー症状予測を目指した感作パターン解析~多項目アレルギー検査ドロップスクリーンの活用~

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2025-04-10 理化学研究所

理化学研究所(理研)の研究チームは、小児アレルギー診療における多項目アレルギー検査キット「ドロップスクリーンST-1®」を用いて、アレルゲンの種類や患者の感作状態に類型的なパターンが存在することを明らかにしました。この検査キットは、指先からの微量な血液で41種類のアレルゲンに対する特異的IgE抗体量を約30分で測定でき、中小の医療機関でも迅速な診断が可能です。研究では、3歳未満の乳幼児244人の血清を用いて、従来法とドロップスクリーンの測定値を比較し、高い一致率を確認しました。さらに、クラスター分析により、アレルゲンは9つ、患者の感作状態は5つのクラスターに分類され、特定のアレルゲン群と患者群の関連性が示されました。この成果は、アレルギー疾患の進行予測や早期治療開始に寄与することが期待されます。

小児アレルギー症状予測を目指した感作パターン解析~多項目アレルギー検査ドロップスクリーンの活用~
理研が基本コンセプトを開発、日本ケミファが実用化したアレルギー多項目同時検査システム

<関連情報>

小児アレルギー疾患における多項目アレルギー検査ドロップスクリーンの活用に関する検討

伊藤 嘉浩, 秋元 淳, 大竹 直人, 小布施 聖, 小川 佑人, 三浦 順一郎, 藤宮 仁, 佐藤 さくら, 海老澤 元宏
アレルギー  発行日: 2025/04/10
DOI:https://doi.org/10.15036/arerugi.74.63

抄録

【背景】ドロップスクリーンST-1は2020年に実用化された微量の検体で特異的IgE抗体の多項目(抗原)同時測定をベッドサイドで行える検査法である.本研究ではドロップスクリーンST-1と従来法であるイムノキャップの相関性を評価し,小児アレルギー診療における有用性を探索する.

【方法】アレルギー外来を受診した3歳未満の児(244名)の血清を用い,ドロップスクリーンST-1による特異的IgE抗体を測定し,イムノキャップとの一致率の評価,及びCo-Clustering法による感作プロファイルのクラスター分析を行った.

【結果】ドロップスクリーンST-1とイムノキャップとの陽性一致率,陰性一致率,判定一致率は,93.5%,93.0%,89.3%であった.クラスター分析では,Co-Clustering法を用い,情報量基準の一種であるICL値で最適な分割数を求めた.アレルゲン軸では,9つのクラスターに,患者軸では,5つのクラスターに分類することができた.ここで得られた分割表でFisher正確確率を適用したところ,患者とアレルゲンには有意な関係が存在することが示された.アレルゲンとして,卵白,オボムコイド,ミルクなどと,ダニ類は,特徴的なクラスターを形成することがわかった.患者軸では,様々なアレルゲンに高感作されるクラスターから,特定のアレルゲンに高感作されるクラスターまで分類された.

【結語】ドロップスクリーンST-1とイムノキャップとは高い相関性を示した.多項目同時測定の特異的IgE検査により感作パターンのクラスター分析が可能になった.

医療・健康
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