世界の研究用iPS細胞1万件を検索できるウェブサイトを開設

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2019-03-20  京都大学iPS細胞研究所

ポイント

  1. 日米欧のiPS細胞データベース情報を統合したウェブサイトを開設した。
  2. 世界中で樹立された研究用iPS細胞を高速に検索できる。
  3. 研究用iPS細胞の入手を容易にし、より効率的な研究の推進に貢献できると期待される。

1. 要旨

iPS細胞研究の効率化を目的として、世界中で樹立されたiPS細胞株が登録されたデータベースが日米欧を中心に作成・公開されています。近年では、それらの情報を統合化する動きが高まっています。そこで、藤渕航教授(CiRA未来生命科学開拓部門)らの研究グループは、4つの主要データベース(理化学研究所バイオリソースセンター注1、幹細胞情報データベースプロジェクトSKIP注2、hPSCreg注3、eagle-i注4)の14,609件のデータを統合し、一元的に検索可能なウェブサイト「幹細胞バンクデータ統合コレクション」(Integrated Stem Cell Bank Retrieval System)を開設しました。
上記の4つのデータベース間では同一データが相互登録されており、検索すると同じ細胞が複数回ヒットすることがありました。そこでこれらを整理し、11,247件のデータとしてまとめ、本研究グループが既に開発しているヒト細胞データベース「SHOGoiN注6」ウェブサイトのトップページに組み込み、検索可能としました。また、統合検索の際には、それぞれのデータベースでデータの検索項目が異なることが大きな課題となりますが、本研究グループらが2016年に日欧米英の国際協力のもとで開発した幹細胞データ記述ガイドライン「MIACARM注5」(参考:CiRA HP 研究成果 2016年7月13日「国際幹細胞データガイドライン「MIACARM」の開発」)を適用することで、統合検索が可能になりました。
本ウェブサイトでは、簡易キーワード検索のほかに人種・性別・細胞源・疾患名・細胞グレードなど詳細を設定でき、健常人由来iPS細胞や、パーキンソン病、加齢黄斑変性など世界で樹立された疾患特異的iPS細胞の検索を容易に行うことができます。とりわけ、進行性骨化性線維異形成症(FOP)など希少疾患から樹立された数少ないiPS細胞を世界中の研究機関のデータからより容易に探し出せるようになることで、入手しやすくなり、より効率的な研究の推進に貢献できると期待されます。
なお、今回開発した検索ページ(英語)は研究者を対象としていますが、2020年には一般向けのウェブサイト(日本語)も開発する予定です。
また、本ウェブサイトは、2019年3月21〜23日に神戸市で開催される第18回日本再生医療学会総会でのブース展示にてご紹介いたします。

2. リンク集
注1) 理化学研究所バイオリソースセンター(BRC)

注2)SKIP:慶應大学で開発された幹細胞情報データベースプロジェクト(2019年にCiRAへ移管)

注3)hPSCreg:ベルリン医科大学で開発されたヒト多能性幹細胞情報データベース

注4)eagle-i:ハーバード臨床橋渡し科学センターで開発されたリソース発見ツール

注5)MIACARM:再生医療のための幹細胞データ最小記述ガイドライン

注6)SHOGoiN:iPS細胞と体細胞形成のためのヒトオミクスデータベース

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