PROSの澤崎教授らがヒトに作用する抗体の特異性をゲノムワイドに評価できる新しい技術をScientific Reports誌で発表しました。
2019-12-24 愛媛大学
澤崎達也教授の研究グループおよび株式会社セルフリーサイエンスの森下了研究開発部長らの研究グループは、特定のヒトタンパク質に対する抗体の最良の検証技術として、約20,000種類のヒトタンパク質から目的抗体と結合するタンパク質を同定する新しい技術の開発に成功しました。
図 abc
愛媛大学発バイオベンチャー企業のセルフリーサイエンス社は、愛媛大学プロテオサイエンスセンターが独自に開発してきたコムギ無細胞系を改良し、1)多検体合成に適した新たなタンパク質合成技術(図a)を開発しヒトタンパク質20,000種類の合成に成功し、2)1,536ウェルの磁気プレート上にタンパク質が構造を保持した状態で固定化できる技術(図b)という2つの技術を開発しました。そこで本研究グループでは、上記2つの技術を組み合わすことにより、ヒトタンパク質に対する抗体検証を簡便に行えるCF-PA2Vtech(Cell-free Protein Array based Antibody Validation technology、図c)の開発を行いました。
2018年のノーベル医学生理学賞で示されているように、特定のタンパク質に対して高い特異性と親和性を持っている抗体医薬品の重要性は年々高まっています。ただし、すべての抗体が一様に特別な能力を持っているわけではありません。そのため、抗体の検証は、高機能性抗体を特定するための重要なステップです。特に抗体医薬品の場合、抗体の交叉反応性は非常に重要な問題であり、本技術のCF-PA2Vtechは約20,000種類のヒトタンパク質を使用して抗体を検証できるため、抗体開発、特に抗体医薬品の研究に本技術が有用であると期待されます。