日常品にデータを記憶させる (Storing data in everyday objects)

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2019/12/9 スイス連邦工科大学チューリッヒ校(ETH)(チューリッヒ工科大学)

3D-printed plastic rabbit

・ ETH の研究チームとイスラエルの科学者らが、DNA 分子を記憶媒体として利用し、あらゆるオブジェクトをデータ記憶ユニットに変換する新技術を開発。

・シャツのボタン、ペットボトルやメガネレンズに大量のデータを記憶させて数年後に再生したり、情報を隠して後でデータを生成したりできる。

・ 例えば、3D プリントオブジェクトにその製造に関する情報を記憶させ、10 年後や 100 年後もそのオブジェクトからその製造情報を直接取り出せる。

・同技術は、過去に開発された技術である、DNA の「バーコード」を埋め込んガラスのナノビーズを含ませたオブジェクト作製がベース(ETH のスピンオフ Healixa が商業化)。これらのナノビーズは、地質試験のトレーサーや高品質食品のマーカーにも使用できる。同バーコードは比較的短い 100 ビット・コード。

・ 同技術では、理論的には 1g の DNA に 215,000 テラバイトの膨大な量のデータ記憶が可能。15 メガバイトに相当する音楽アルバム全曲を記憶できた。

・今回、これらの技術を統合して新タイプのデータ・ストレージ方法を開発。インターネットを介し、あらゆるオブジェクトが情報で繋がるモノのインターネット(IoT)を模して「モノの DNA(DNA of Things)」と同技術を命名。

・ DNAを含有するガラスナノビーズを、プリント材料のプラスチックに添加し、その製造方法の情報(約 100 キロバイト相当のデータ)を記憶したウサギのオブジェクトを 3D プリント作製。同オブジェクトは、生きたウサギのように自身の青写真を含有する。

・ 同ウサギオブジェクトの一部よりプリント情報を取り出して同様なオブジェクトを新たに製造するプロセスを 5 回繰り返し、第一世代のウサギの「玄孫」を作製。このようなオブジェクトは、生物のように世代を超えて情報を保持する。

・ ハードディスクや CD 等の記憶媒体には決まった形態があり、それらを変えれば情報が失われる。現時点では、DNA が、あらゆる形態のオブジェクトに取り入れられる液体の状態で存在する唯一のデータ記憶媒体。

・ 同新技術は、日常品に情報を隠すステガノグラフィーとしての利用も可能。短い動画(1.4 メガバイト)をガラスビーズに記憶させ、一般的なガラスレンズに流し込んで作ったメガネでは、空港のセキュリティも問題なく通過して情報を持ち運べる。理論的には、製造時に高温度とならないあらゆるプラスチック(エポキサイド、ポリエステル、ポリウレタン、シリコーン)製のオブジェクトにガラスビーズを埋め込める。

・さらに、医薬品や接着剤等の品質を直接製品に記憶させ、衛生管理者が医薬品から品質管理の試験結果を直接読み取ったり、ビルのリノベーションではオリジナルのメーカーの製品をの特定に役立てることができる。

・ プラスチック製のウサギの DNA 分子に記憶した 3D プリンティングファイルの変換には約 2,000 スイスフランを要し、現時点では比較的高額。DNA 分子の合成にコストがかかる。ただし、オブジェクトのバッチサイズが大きいほど単価は下がる。

URL: https://ethz.ch/en/news-and-events/eth-news/news/2019/12/dna-of-things-storing-data-in-everyday-objects.html

(関連情報)

Nauture Biotechnology 掲載論文(アブストラクトのみ:全文は有料)

A DNA-of-things storage architecture to create materials with embedded memory

URL: https://www.nature.com/articles/s415870190356z

<NEDO海外技術情報より>

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