2020-05-26 京都大学
城友泰 医学研究科特定助教、錦織桃子 同講師、岩井一宏 同教授、髙折晃史 同教授らの研究グループは、マウスモデルを用いた解析を行い、LUBACの機能亢進がB細胞においてDNA傷害により誘発される細胞死を抑制する作用によって、ゲノム変異の蓄積を誘導し、活性化B細胞様びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(ABC-DLBCL)様のリンパ腫の発症が促進されることを明らかにしました。更にLUBAC機能を阻害する化合物を発見し、マウスモデルにおいてリンパ腫の増殖抑制効果があることを見出しました。
頻度の高い悪性リンパ腫であるABC-DLBCLは、主に抗がん剤で治療されていますが、一部の患者においては効果が不十分で新しい作用点の治療薬が望まれています。LUBACはタンパク質の機能を修飾する直鎖状ユビキチン鎖を生成する複合体型ユビキチンリガーゼで、NF-kBの活性化や細胞死(アポトーシス)の抑制などに深く関わっています。LUBACはABC-DLBCLの病態に関わることが示唆されてきましたが、そのメカニズムは未解明でした。
本研究成果によって、LUBACの機能を抑制することがリンパ腫の新たな治療戦略になり得ることが示されました。
本研究成果は、2020年4月23日に、国際学術誌「Blood」のオンライン版に掲載されました。
図:本研究の概要図