2020-07-13 京都大学
伊東拓朗 農学研究科・日本学術振興会特別研究員(現・東北大学助教)、後藤雅文 東京都小笠原支庁 東京都レンジャー(現・環境省奄美群島国立公園管理事務所レンジャー)、中野秀人 同職員(現・東京都環境局職員)、國府方吾郎 国立科学博物館研究主幹らの研究グループは、小笠原諸島の聟島(むこじま)列島から新種の植物を発見し、「ムコジママンネングサ」と名付けました。
本種は、これまで同諸島の聟島・父島列島に分布する絶滅危惧種のムニンタイトゴメとされてきましたが、形態比較や遺伝子解析などの結果から、聟島列島産のものは新種であることがわかりました。同諸島の父島・母島列島には、それぞれ独自に進化した植物(固有種)が知られていますが、聟島列島からはこれまで植物の固有種は確認されておらず、本種が初の報告となります。聟島列島の植物は過去に野生化したヤギの食害により壊滅的な被害を受けましたが、本種は海岸の断崖絶壁に生育することなどから、ヤギの食害を免れて生き残ってきたと考えられます。本種の存在は、聟島列島もまた他の島々と異なる独自の生物相を発達させてきたこと示す重要なものです。
本研究成果は、2020年6月25日に、国際学術誌「PHYTOTAXA」のオンライン版に掲載されました。
図:新種のムコジママンネングサ(写真提供:後藤雅文)