⾏動依存症のバイオマーカーを発⾒~⾏動依存症の⽣理学的特徴の解明~

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2020-07-22 京都大学

浅岡由衣 理学研究科修士課程学生、後藤幸織 霊長類研究所准教授、元武俊 特定医療法人共和会共和病院医師らの研究グループは、行動依存症患者のモノアミン物質とDNAメチル化状態が通常とは異なることを明らかにしました。

ギャンブルやインターネット・ゲームなど特定の行動に対する依存は、近年、行動依存症として社会的な注目を集めています。また、万引きなどの窃盗症、盗撮や痴漢などの性嗜好障害といった、犯罪と知りつつも繰り返し衝動的に行ってしまう行動も行動依存症であると考えられています。

本研究では、窃盗症と性嗜好障害の入院患者と健康な成人男女を対象に、血液中の、神経伝達に関連する物質であるモノアミンの測定と、血液細胞DNA上の遺伝子発現調節スイッチであるメチル化の状態を解析しました。その結果、行動依存症患者では、モノアミンのなかでもドーパミンに関連する物質が増加している一方、メチル化の状態は、神経細胞間のシナプス伝達や脳発達などの機能、および統合失調症・自閉症スペクトラム・知的障害・物質(薬物)依存症などの精神疾患に関連する遺伝子上で変化がみられました。これらの結果から、行動依存症には、ドーパミンによる神経伝達の変化や、薬物依存症を含むその他の精神疾患と関連するメカニズムが関わっていること、ならびに、これらの生理学的変化は、行動依存症を特定するバイオマーカーとなる可能性が示唆されます。

本研究成果は、2020年7月16日に、国際学術誌「Scientific Reports」に掲載されました。

図:本研究の概要図

詳しい研究内容≫

医療・健康細胞遺伝子工学
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