「COVID-19データポータルJAPAN」を公開
2020-10-05 国立情報学研究所
大学共同利用機関法人 情報・システム研究機構(ROISロイス、機構長:藤井良一、東京都港区)の、国立情報学研究所(NIIエヌアイアイ、所長:喜連川 優、東京都千代田区)オープンサイエンス基盤研究センター(RCOSアールコス、センター長:NIIコンテンツ科学研究系教授 山地 一禎)と国立遺伝学研究所(NIGエヌアイジー、所長:花岡 文雄、静岡県三島市)の生命情報・DDBJディーディービージェーセンター(センター長:NIG生命ネットワーク研究室教授 有田 正規)は、国内外に散在する新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に関する研究データへ研究者が迅速にアクセスできるよう、オープンデータの調査と収集を実施し、その結果を「COVID-19データポータルJAPAN(リンク:https://covid19dataportal.jp/)」として公開します。このポータルサイトでは、遺伝子配列情報や、タンパク質情報、疾患情報などの生命科学系の研究データだけでなく、画像や文献、データ投稿のツールも含めたリソースを、分野横断的に収集することができます(表1)。研究者がこの基盤を活用して研究データを発見し、創出したデータをさらにオープンに共有していくことができれば、未だ出口の見えないコロナ禍の解決に繋がると考えられます。
本ポータルサイトは、既に欧州で公開されている「COVID-19 Data Portal(リンク:https://covid19dataportal.org/)」の枠組みに賛同する形で開始しました。海外でも、国ごとに産生されるCOVID-19の研究成果をまとめ、ポータルとして公開する動きが広まりつつあります。このポータルサイトは、国内の多数の機関の協力を受けて公開していきます。機関や分野を超えて、日本のCOVID-19研究推進と、データ共有の円滑化に貢献する基盤として、今後もコンテンツの強化を続ける予定です。
COVID-19データポータルJAPAN
https://covid19dataportal.jp/
2020年10月5日(月)10時公開予定
このポータルサイトでは、収集したCOVID-19関連の研究データやツールを分野別にリスト化しており、それぞれの説明を参考に各リソースに迅速にアクセスすることができる。
表1 COVID-19 データポータル JAPANからリンクされるデータ一覧
提供機関 |
コンテンツタイトル |
概要(件数は2020年7月時点) |
ライフサイエンス統合データベースセンター |
DBCLS Service |
バイオインフォマティクスやデータベース統合に役立つツールやサービス |
国立遺伝学研究所DDBJセンター |
DDBJ ARSA |
10082件の塩基配列 |
DDBJ SRA |
71件の次世代シーケンサによる解析 |
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DDBJ 検索・解析 |
配列データの検索や解析ツール |
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DDBJ 登録 |
三大国際データバンクの登録ページ |
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国立医薬品食品衛生研究所 |
新型コロナウイルスに関する情報提供のページ |
新型コロナウイルスに関する医薬品・PCR検査・抗体検査・食品安全に関する情報 |
国立感染症研究所 |
感染研 画像・映像アーカイブ |
コロナウイルスの電顕写真など |
国立情報学研究所 |
CiNii Articles |
1504件の文献情報。 |
CiNii Books |
41件の書籍情報 |
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JAIRO Cloud |
クラウド型の機関リポジトリ環境提供サービス |
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国立国会図書館 |
国立国会図書館 リサーチ・ナビ |
13件のCOVID-19に関する調べ方とコンテンツ一覧 |
日本学術会議 |
Information on important infectious diseases including COVID-19 in Japan |
政府や自治体から出された統計情報や提言 |
京都大学化学研究所附属バイオインフォマティクスセンター |
KEGG Virus |
11件の部分配列情報 |
KEGG Genome |
1件のゲノム配列全長情報 |
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KEGG Disease |
新型コロナウイルス感染症の定義情報 |
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KEGG: Kyoto Encyclopedia of Genes and Genomes |
KEGGデータベースシステムの統括ページ |
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科学技術振興機構バイオサイエンスデータベースセンター |
TogoProt |
数十件の蛋白質DBの統合検索 |
NBDCブログ |
COVID-19に関するコンテンツ一覧を記したブログ記事 |
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NBDC |
データベースのカタログ、横断検索、アーカイブなど |
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LSDB Archive |
国内のライフサイエンス研究者が生み出したデータセットのアーカイブ |
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大阪大学蛋白質研究所 |
PDBj: Protein Data Bank Japan |
104件の代表構造と解説 |
米国国立衛生研究所 |
PubMed |
31054件の文献情報 |
PubMed Central: PMC |
米国NIHの収集するCOVID-19関連のOAジャーナルへのリンク |
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UniProt Consortium |
UniProt: The Universal Protein Resource |
53件のタンパク質データ |
Europe PMC funder group |
Europe PMC |
114401件のOAジャーナルとプレプリント |
山地 一禎 国立情報学研究所(NII)オープンサイエンス基盤研究センター長からのコメント:
「本サイトは、世界の公開遺伝情報を集約している国立遺伝学研究所DDBJセンターと共同で開発を進め、コンテンツの充実に努めました。サイトの構築を進めながら、国内におけるCOVID-19の研究成果の公開が、海外に比べると積極的に進んでいない現状も見えてきました。こうした取り組みを通じて、日本からのデータ発信がさらに促進されることを期待します。今後も国内外の関係機関と協調し、COVID-19研究や知識発見に貢献するサービスを提供して参ります。」
有田 正規 国立遺伝学研究所(NIG)生命情報・DDBJセンター長からのコメント:
「日本はCOVID-19関連の論文数が少ないと報道されます。その原因は責任の所在が各都道府県に押し付けられてしまい,ウィルスのRNA配列を含めた情報公開が進まないことです。風評被害やバッシングを懸念するほど,情報は秘匿されてしまいます。このポータルと姉妹サイトを通じて多くの人に世界情勢を知ってもらい,情報の自由な流通がメリットになることを実感してもらいたいです。」