正常な精子・卵子の形成メカニズムを解明~染色体の分離に重要なタンパク質の発見~

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2020-12-04 京都大学

ピーター・カールトン 生命科学研究科准教授(兼・高等研究院物質-細胞統合システム拠点(iCeMS=アイセムス)連携主任研究者)らの研究グループは、モデル生物線虫を用いて、人間まで保存された HORMAドメインタンパク質(HIM-3)のリン酸化が、正常な精子と卵子の形成を促すことを示しました。

出産の高齢化が進む現代社会では、適齢期夫婦の約15%が不妊問題を抱えると言われており、その多くのケースで原因となる不妊因子は特定されていません。このため、正常な精子、卵子を生み出すメカニズムの理解は、重要な研究課題です。精子、卵子を生み出す細胞分裂は、減数分裂と呼ばれる特殊な分裂で、その分子メカニズムには多くの謎が残されています。減数分裂では、母方と父方から受けついだ染色体を、2回連続して切り離すことにより、細胞に含まれるDNAの数を半分にします。二段階で染色体を分離する際、細胞は、染色体をどの部分で切り離すかというのを前もって決めておき、秩序立って分離しなければいけません。このとき、細胞が、どのように染色体の分離面を決めているのか、という謎はこれまで未解決のままでした。

本研究は、HIM-3と呼ばれる、人間まで保存されたタンパク質が、減数分裂前期の初めにリン酸化を受け、そして、分裂の直前に、染色体の特定の領域で脱リン酸化されることが、染色体の分離面の確立に貢献していることを発見しました。HIM-3は、精子または卵子になる前駆細胞にのみ存在し、染色体を束ねる軸をつくるタンパク質群の一員です。本研究より、減数分裂では、染色体の軸タンパク質を制御することが、正しい染色体の分離、そして正常な精子と卵子の形成を促すことがわかりました。

本研究成果は、 2020年11月11日に、国際学術誌「PLoS Genetics」のオンライン版に掲載されました。

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図:本研究の概要図

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研究者情報
研究者名:ピーター・カールトン

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