国立研究開発法人国立がん研究センターとエーザイ株式会社が治療効果予測能が高いPDXとがんゲノムデータを用いた「希少がんならびに難治性がんに対する抗がん剤治療開発を加速させる創薬研究手法に関する研究」を開始

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2021-05-14 国立がん研究センター,エーザイ株式会社

発表のポイント

  • 国立がん研究センターとエーザイは、本研究開発プロジェクトを通じて、アンメット・メディカル・ニーズの高い希少がんならびに難治性がんに対する治療薬の創出に取り組みます。
  • 本研究開発プロジェクトでは、国立がん研究センターが有する、日本人がん患者由来の腫瘍組織を免疫不全マウスに移植した動物モデルであるPDX(Patient-Derived Xenograft )ライブラリーとがんゲノムデータを用いて、エーザイが保有する新規抗がん剤候補品の開発を加速し、薬事承認に繋げ、非臨床研究から臨床研究までの一貫した新規抗がん剤開発の創薬研究システムを確立します。
  • 本研究開発プロジェクトは、国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)の医療研究開発革新基盤創成事業(CiCLE)の支援により実施します。

概要

国立研究開発法人国立がん研究センター(所在地:東京都中央区、理事長:中釜斉、以下 国立がん研究センター)とエーザイ株式会社(本社:東京都文京区、代表執行役CEO:内藤晴夫、以下 エーザイ)は、「希少がんならびに難治性がんに対する抗がん剤治療開発を加速させる創薬研究手法に関する研究」について研究開発契約を締結し、研究活動を開始したことをお知らせします。本研究開発プロジェクトは、国立研究開発法人日本医療研究開発機構(以下、AMED)の医療研究開発革新基盤創成事業(CiCLE)の支援により実施します。

希少がんは、患者数が非常に少ないため、製薬企業単独では開発が困難であり、製造販売承認に至る薬剤は限られています。また、患者数が多いがんにおいても、標準治療が確立されていない難治性がんなどは研究開発の難易度が高く、新薬創製の障壁となっています。このような背景のもと、希少がんや難治性がんの患者さんにいち早く有効な治療法をお届けするためには、薬剤の効果を予め確認する非臨床研究での治療効果予測を高精度かつ効率的に証明し、続く臨床試験への移行をシームレスに行うこと、さらに実際の治療効果や副作用、薬剤耐性の作用機序を解明することが重要です。そのため、本研究開発プロジェクトでは、臨床での有効性を高精度に予測可能なPDX(Patient-Derived Xenograft:患者由来のがん組織を免疫不全マウスに移植したモデル)ライブラリーとがんゲノムデータを用いてその実現をめざします。

国立がん研究センターは、国内における希少がんを含めた全がん種を対象とした基礎研究、疫学研究、臨床試験をリードする存在であり、2020年5月にはAMED CiCLEの支援により、臨床情報を付帯した日本人がん患者由来の大規模PDXライブラリー「J-PDX」を構築し、基盤・環境の整備を完了しています。J-PDXには、希少がんや難治性がんも含め既に410種以上のPDXが樹立されています(2021年3月現在)。

エーザイは、グローバルに承認を取得した微小管ダイナミクス阻害剤エリブリンメシル酸塩(製品名:ハラヴェン)とマルチキナーゼ阻害剤レンバチニブメシル酸塩(製品名:レンビマ)に関する経験を活かし、製品ポートフォリオマネジメントの基本戦略として、「がんゲノミクス」と「がん微小環境」を重点領域と定め、新規抗がん剤の研究開発を進めています。

本契約に基づく研究開発では、国立がん研究センターとエーザイが共同して、エーザイ創製の新薬候補品に対して、患者臨床情報が付帯するJ-PDXを用いて臓器横断的に非臨床研究を行い、臨床試験に移行すべき薬剤と対象がん種を決定します。そのうえで希少がんならびに難治性がんを対象に医師主導治験を実施し、臨床での有用性を確認するとともに、承認申請をめざします。さらに、治療前後の腫瘍組織からPDXを樹立し、薬剤応答性ならびにがんゲノムの比較解析を行い、新規創薬ターゲットの探索と薬剤耐性機序の解明に取り組み、新たな創薬への展開を検討します。これらの取り組みにより、日本における新規抗がん剤開発を加速させる創薬研究システムの確立をめざします。

国立がん研究センターとエーザイは、本契約に基づく研究開発を通じて、アンメット・メディカル・ニーズの高い希少がんならびに難治性がんに対する治療薬の創出に取り組むことによって、がん患者さんとそのご家族、さらには医療従事者の多様なニーズの充足とベネフィット向上により一層貢献してまいります。

参考資料

1 希少がんについて

希少がんとは、厚労省「希少がん医療・支援のあり方に関する検討会」により「人口10万人あたりの年間発生率(罹患率)が6例未満のもの、数が少ないがゆえに診療・受療上の課題が他のがん種に比べて大きいもの」の2つの条件に該当するがん種と定義されています。希少がんの患者数は少なく、専門とする医師や医療機関も少ないことから、診療ガイドラインの整備や、有効な診断・治療法を開発し実用化することが難しく、臨床におけるエビデンスや医療機関に関する情報が少ないことが課題となっています。

2 日本人がん患者由来のPDXライブラリー「J-PDX」について

これまでの抗がん剤開発での課題のひとつには、治療効果予測に用いる細胞株による実験モデルでの予測能が低いことが挙げられます(図1)。一方でPDXは、がん患者さんのがん組織を免疫不全マウスに移植し腫瘍を再現する動物モデルで、がん組織の特徴を保持できるため、高い再現率を有するとの報告があり、創薬利用が急速に進んでいます(図2)。
国立がん研究センターが構築した日本人がん患者由来の大規模PDXライブラリー「J-PDX」は、

  1. 臓器横断的にPDXを樹立し、メジャーながんに加え、希少がん(骨肉腫・横紋筋肉腫など)、アジアに多いがんにも注力したこと、
  2. 手術検体だけでなく薬剤耐性期の検体からもPDXを樹立したこと、
  3. 治療歴を含む詳細な臨床情報を付帯したPDXであることが特徴で、新規抗がん剤開発での活用促進、開発の加速

が期待されます。

図1

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図2

3 医療研究開発革新基盤創成事業(CiCLE)について

AMEDによるCiCLEは、産学官連携により、我が国の力を結集し、医療現場ニーズに的確に対応する研究開発の実施や創薬等の実用化の加速化等が抜本的に革新される基盤(人材を含む)の形成、医療研究開発分野でのオープンイノベーション・ベンチャー育成が強力に促進される環境の創出を推進することを目的とした事業です。

4 国立研究開発法人国立がん研究センターについて

国立がん研究センターは、1962年にわが国のがん医療の拠点となる国立機関として創設されました。以来、がん研究・がん医療における中核機関として、研究所と中央病院、東病院などが一丸となり、がんの病態解明とこれに基づく治療開発に向けた先端的な研究を牽引してきました。また、治験の実施件数も国内トップクラスで、中央病院、東病院ともに臨床研究中核病院の指定を受け第I相試験や医師主導治験も積極的に実施し、標準治療の確立に貢献しています。

特に現在は、アンメット・メディカル・ニーズの課題解決のための研究・臨床体制の強化、ゲノム情報に基づく個々人に最適化された医療・先制医療提供体制の整備と政策提言に強力に取り組んでおり、企業や他の医療機関や大学などとも積極的に連携を図っています。

5 エーザイ株式会社について

エーザイは、患者様とそのご家族の喜怒哀楽を第一義に考え、そのベネフィット向上に貢献する「ヒューマン・ヘルスケア(hhc)」を企業理念としています。グローバルな研究開発・生産・販売拠点ネットワークを持ち、戦略的重要領域と位置づける「神経領域」「がん」を中心とするアンメット・メディカル・ニーズの高い疾患領域において、世界で約1万人の社員が革新的な新薬の創出と提供に取り組んでいます。

また、エーザイは開発途上国・新興国における医薬品アクセスの改善に向け主要なステークホルダーズとの連携を通じ積極的な活動を展開しています。
エーザイ株式会社の詳細情報は、https://www.eisai.co.jp(外部サイトにリンクします)をご覧ください。

報道関係お問い合わせ先

国立研究開発法人 国立がん研究センター 企画戦略局 広報企画室
エーザイ株式会社 PR部

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