2021-08-25 医薬基盤・健康・栄養研究所
【概要】
非感染性疾患の危険因子に関する国際共同疫学研究グループ(NCD Risk Factor Collaboration, NCD-RisC、エヌシーディーリスク)は、1990年から2019年までの200か国・地域における高血圧の薬物治療管理状況の長期推移を明らかにしました。
本研究は、世界の高血圧の薬物治療管理に関するこれまでで最大規模の研究で、英国のインペリアル・カレッジ・ロンドンと世界保健機関(WHO)が中心となり、世界中の1,100人以上の医師と研究者が参加しました。日本からは19名の研究者が参加し、国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所国立健康・栄養研究所国際栄養情報センター国際保健統計研究室の池田奈由室長が、世界各国36名で構成された論文執筆班に加わりました。
世界の30~79歳の高血圧患者数は1990年の6億5千万人から2019年の12億8千万人に倍増し、7億人以上が治療を受けていないと推定されました。今後、特に低所得国と中所得国を中心に高血圧患者数の増加が予想され、国際社会で低費用の薬物治療による高血圧管理を支援する必要性が指摘されました。
本研究成果は、WHOや各国の高血圧の診療に関するガイドラインや、保健医療政策の立案・評価に貢献するものと期待できます。
本研究は、医学雑誌『Lancet』のオンライン版(8月24日付)に掲載されました。