コアプロモーターを介した転写バースト制御メカニズムを解明

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2021-12-13 東京大学

DNAからタンパク質の設計図となるmRNAを合成する転写反応の制御において中心的な役割を担うのは、コアプロモーターやエンハンサーと呼ばれるゲノム中の調節領域です。エンハンサーは転写活性のON/OFFを切り替えるスイッチとして、個体発生における遺伝子発現を時空間的に制御しています。一方で、コアプロモーターはエンハンサーからの転写活性化の合図を受け取り、遺伝子発現を開始する役割を担っています。重要なことに、エンハンサーは標的遺伝子から「転写バースト」と呼ばれる不連続状の転写反応を誘導することが知られています。しかし一方で、転写バースト制御におけるコアプロモーターの役割はこれまで十分に理解されてきませんでした。
今回、東京大学定量生命科学研究所の余越 萌 助教、川﨑 洸司 特任研究員、深谷 雄志 准教授の研究チームは、転写制御におけるコアプロモーターの働きを生きたショウジョウバエ初期胚において直接可視化するライブイメージング技術を新たに開発しました。詳細な定量画像解析の結果、エンハンサーとは独立して、コアプロモーター自身も転写バーストの制御において重要な役割を担うことを新たに見出しました。さらにゲノム編集を用いて内在遺伝子のコアプロモーターを改変したところ、転写バーストの制御が大きく乱れ、形態形成異常を引き起こすことが明らかとなりました。以上の成果は、遺伝子発現制御における基本原理の解明に留まらず、疾患の原因となるコアプロモーター変異の同定や、新規医療技術の開発に向けた基盤的知見となることが期待されます。

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生物工学一般
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