2021-12-13 京都大学
宇野裕美 生態学研究センター特定准教授(現・北海道大学・日本学術振興会特別研究員)、横井瑞士 同修士課程学生(研究当時)、福島慶太郎 同研究員、菅野陽一郎 コロラド州立大学准教授らは、岸田治 北海道大学准教授、内海俊介 同准教授、同雨龍研究林の職員およびスタッフらと共同で、研究林内の希少な天然氾濫原において研究を行い、河川の氾濫が氾濫原生態系の生物多様性を維持する上で重要であることを示しました。
現在日本および世界中の多くの自然の氾濫原生態系は失われてしまいました。本研究では河川の氾濫から収束までの間、水の流れの変化と生物の応答を克明に調査し、氾濫と共に様々に形を変えながら流れ下る川の水のダイナミクスが幻の巨魚イトウをはじめとする様々な魚や両生類、そして水生昆虫やプランクトンなどの多様な生物が氾濫原に生息する秘訣となっていることを示しました。防災上、抑えられがちな河川の氾濫ですが、自然現象の一つとして自然界では多くの生物によって利用されていることが予想されます。
本研究成果は、2021年12月10日に、国際学術誌「Freshwater Biology」にオンライン掲載されました。
図:(左)雪解け氾濫で何本にも枝分かれして流れ下る天然の氾濫原河川、(右)氾濫原に棲む生物。上段左からエゾアカガエル、エゾサンショウウオ、ケンミジンコ、モンカゲロウ、そして下はイトウ
研究者情報
研究者名:宇野裕美
研究者名:福島慶太郎