親しき仲にも礼儀あり〜共生細菌は、昆虫体内のたった 1 つの細胞内で棲み分ける〜

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2022-12-27 富山大学

ポイント

  • “棲み分け”は、自然界に広く見られる現象で、同一の資源(餌や住処など)を巡る競争を緩和し、近接空間での複数生物種の共存を可能にすると考えられている。
  • 農業害虫タバココナジラミでは、その体内に生息する 2 種類の共生細菌が、昆虫の同一細胞内で、別々の極小区画に棲み分けをしていることを発見した。
  • 細菌が同一細胞内で棲み分けるという現象は、これまでに全く報告されていない。本成果は、微生物の生態や、共生の進化の理解に新たな観点を提示するものである。

概要
国立大学法人富山大学 学術研究部 理学系の土`田 努 准教授と国立大学法人群馬大学食健康科学教育研究センターの藤原亜希子 講師(国立研究開発法人理化学研究所 環境資源科学研究センター 客員研究員を兼務)は、独立行政法人産業技術総合研究所 生物プロセス研究部門の鎌形洋一研究部門長(現 生命工学領域長補佐)および孟憲英 専門技術員と共同で、農業害虫として知られるタバココナジラミとその近縁種では、虫の生存・繁殖に必須の役割を担う 2 種類の共生細菌が、コナジラミ体内の同一細胞内という極小空間で”棲み分け”を行っていることを発見した(図 1)。


図 1 (A) キャベツに寄生する農業害虫タバココナジラミ (成虫と卵) (B)タバココナジラミ腹部の菌細胞とその内部に存在する 2 種類の共生細菌

多くの昆虫では、その体内に、生存や繁殖の役割を担う必須の共生細菌を複数種棲まわせていることが知られている。しかし、これらの細菌は昆虫の別々の細胞や組織に収納されているのが一般的であり、同一細胞内での棲み分けという現象は従来まったく知られていなかった。今回の発見は、微生物の生態や共生の進化の理解に新たな観点を提示するものである。本研究成果は米国の学術誌 「Microbiology Spectrum」に 2022 年 12 月 22 日(木)午後 11 時(日本時間)に掲載された。

詳しい資料は≫

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生物環境工学
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