ケイ酸質の葉毛は中型・大型土壌動物による葉の分解を抑制するのか

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葉毛の新たな生態学的意義の解明に期待

2021-11-25 京都大学

中村亮介 アジア・アフリカ地域研究研究科助教、甘田岳 農学研究科博士課程学生(現・海洋研究開発機構ポストドクトラル研究員)、梶野浩史 同博士課程学生、森里惠 理学研究科研究員、金森主祥 同助教、長谷川元洋 同志社大学教授らの研究グループは、葉毛の特徴が大きく異なるクワ科近縁の二樹種(ケイ酸質の葉毛を高密度で有するカジノキBroussonetia papyriferaと葉毛をほとんどもたないヤマグワMorus australis)を用いて研究を行い、ケイ酸質の葉毛が中型・大型土壌動物による葉の分解を抑制する可能性を実験的に明らかにしました。

葉毛は植物において広く見られる葉の形態学的な特徴の一つです。葉毛が植食者に対する防御機能を有することは知られていましたが、葉が地面に脱落した後の葉の分解におよぼす影響はこれまで明らかになっていませんでした。本研究では、葉毛が中型・大型土壌動物による葉の分解を抑制するという仮説を立て、検証を行いました。一連の実験結果は、カジノキのケイ酸質の葉毛が中型・大型土壌動物による葉の分解を抑制する可能性を支持しており、葉毛が葉の分解に大きな影響をおよぼしうることがわかりました。植物は多様な形態学的、化学的性質の葉毛を有しています。本研究は葉毛の特徴が異なるクワ科の二樹種を対象にしましたが、今後より多くの植物種を含めて検証を行い、生態系レベルでの分解における葉毛の意義の解明が期待されます。

本研究成果は、2021年11月19日に、国際学術誌「Plant and Soil」の特集号「Silicon at the root-soil interface」でオンライン掲載されました。

中型・大型土壌動物による分解に対する葉毛の効果を調べた実験の様子
図:中型・大型土壌動物による分解に対する葉毛の効果を調べた実験の様子。
(a)本実験に用いたカジノキ(Broussonetia papyrifera)、
(b)カジノキのケイ酸質の葉毛(裏面の葉毛密度が非常に高い)、
(c)異なるメッシュバッグを用いた分解試験、
(d)オカダンゴムシ(Armadillidium vulgare)を用いたカフェテリア試験。

詳しい研究内容≫

研究者情報
研究者名:中村亮介
研究者名:甘田岳
研究者名:金森主祥

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生物環境工学
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