老化神経幹細胞の若返りによるニューロン産生の復活と認知機能の改善

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2021-12-17 京都大学

貝瀬峻 ウイルス・再生医科学研究所研究員、影山龍一郎 同客員教授、今吉格 生命科学研究科教授、小林妙子 同准教授、山田真弓 同助教、末田梨沙 同博士課程学生、朴文惠 同博士課程学生、福井雅弘 医学研究科博士課程学生らの研究グループは、老化神経幹細胞がPlagl2の強制発現とDyrk1aの抑制によって若返ることを発見しました。

神経細胞(ニューロン)の元となる神経幹細胞は、大人の脳にも存在しますが、胎生期とは異なり、増殖能やニューロン産生能は低下します。大人の神経幹細胞はある程度増えてニューロンを産生し、これらのニューロンは記憶や学習に重要な役割を果たします。しかし、老化とともに神経幹細胞は増殖能やニューロン産生能をほぼ完全に失ってしまい、その結果、認知機能が低下します。このような老化状態の神経幹細胞を若返らせて増殖能やニューロン産生能を復活させることが可能かどうかは明らかになっていませんでした。

本研究において、胎生期に高発現する遺伝子を強制発現あるいは老齢期で高発現する遺伝子をノックダウンすることによって成体脳に内在する神経幹細胞の若返りが可能かどうか調べたところ、亜鉛フィンガータンパク質Plagl2の強制発現とダウン症候群関連キナーゼDyrk1aのノックダウンの組み合わせ(inducing Plagl2 and anti-Dyrk1a = iPaD)で老化神経幹細胞を効率よく若返らせることに成功しました。若返った神経幹細胞は少なくとも3ヶ月以上の間増え続けて多数のニューロンを産生すること、その結果、老化マウスの認知機能が改善することが明らかになりました。老化とともにクロマチン構造が変化して胎生期に働く遺伝子は発現が低下し、逆に老齢期で働く遺伝子は発現が増加しますが、iPaDによってこれらの現象が逆転しました。この成果は、認知症に対して、内在性神経幹細胞の若返りによるニューロン補充療法の開発に繋がると期待されます。

本研究成果は、2021年12月16日に、国際学術誌「Genes & Development」にオンライン掲載されました。

図:本研究の概要図

詳しい研究内容≫

研究者情報
研究者名:影山龍一郎
研究者名:今吉格
研究者名:小林妙子
研究者名:山田真弓
研究者名:末田梨沙

書誌情報
朝日新聞(12月16日夕刊 11面)および読売新聞(12月16日夕刊 10面)に掲載されました。

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