核酸医薬を用いた腹腔内治療で、難治性の胃がん腹膜播種(ふくまくはしゅ)を治療する

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がん細胞を直接攻撃する次世代医薬の開発へ

2020-10-08 医薬基盤・健康・栄養研究所

国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所創薬デザイン研究センター 人工核酸スクリーニングプロジェクトの小比賀 聡 招へいプロジェクトリーダー、並びに笠原 勇矢 サブプロジェクトリーダーは、名古屋大学大学院医学系研究科消化器外科学の小寺 泰弘 教授、神田 光郎 講師の研究グループとの共同研究によって、腹膜播種を起こす胃がんで特徴的に高発現する特徴的な分子であるsynaptotagmin 13 (SYT13)を標的にしたアンチセンス核酸医薬を創製しました。また、創製したアンチセンス核酸医薬によって、胃がん細胞の活動性が著しく低下し、細胞死を引き起こすことを明らかにし、腹腔内治療に用いることによって、がんを移植したマウスの腹膜播種の進展を止めることができましたのでお知らせします。
SYT13を標的にしたアンチセンス核酸医薬は、既存のがん治療薬と異なる、完全に新しい作用メカニズムを持つ治療法となります。これを病変のある腹腔内に直接投与することによって、全身投与よりも副作用を抑えつつ、効率的に腹膜播種を治療することが期待されます。現在、SYT13を標的にしたアンチセンス核酸医薬の最適化を完了し、第I相臨床試験に向けて、動物を用いた非臨床安全性試験を進めています。将来的には、胃がんと同様に腹膜播種が高頻度に起こる膵がんや卵巣がんにも応用していくことを目指しています。

なお、本研究は国立研究開発法人日本医療研究開発機構 創薬ブースター事業(19nk0101349h0004、腹膜播種に特化した新たな胃癌分子標的医薬の探索)支援を受けて進められ、その成果は、米国科学雑誌「Molecular Therapy – Nucleic Acids」(2020年10月6日付けの電子版)に掲載されました。

詳しい資料は≫

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医療・健康生物化学工学
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