自己免疫疾患に対する新規治療法を発見

ad

2022-02-11 東京大学

発表のポイント

  • 抑制性免疫補助受容体PD-1の機能制限を解除することによりPD-1の抑制機能を誘導することに成功しました。
  • PD-1の抑制機能を誘導することにより、自己免疫疾患である関節リウマチ、多発性硬化症およびシェーグレン症候群の疾患モデルマウスを治療することに成功しました。
  • ヒトの自己免疫疾患や他の免疫関連疾患への応用が期待されます。

発表概要

抑制性免疫補助受容体であるPD-1の機能を阻害することにより、がん細胞に反応するT細胞を活性化してがん細胞を破壊する治療法が2014年より使用されています。一方、PD-1の機能を人為的に誘導することにより、有害なT細胞を抑制して自己免疫疾患を治療できると期待されますが、PD-1の機能を誘導する方法の開発は進んでいませんでした。
今回、東京大学定量生命科学研究所の杉浦大祐助教、岡崎拓教授らの研究グループは、徳島大学先端酵素学研究所の竹本龍也教授、同大学院医歯薬学研究部の石丸直澄教授らとの共同研究で、PD-1の機能を人為的に誘導することに成功しました。この方法を用いて、関節リウマチ、多発性硬化症およびシェーグレン症候群の疾患モデルマウスにおいてPD-1の機能を誘導すると、各症状が大幅に軽減されました。
近年、自己免疫疾患の治療法は大きく改善していますが、依然として効果的な根治療法は無く、十分な治療効果が得られない場合も多く存在します。今回発見された方法は、従来の治療薬とは作用機序が全く異なることから、自己免疫疾患および他の免疫関連疾患に対する新たな治療法の開発につながることが期待されます。
この研究成果は2022年2月10日付(英国)でNature Immunology誌オンライン版に掲載されました。

詳しい資料は≫

ad

医療・健康
ad
ad
Follow
ad
タイトルとURLをコピーしました