世界最古の家禽はガチョウ!? ~約7000年前の中国の遺跡からガン類の家禽化の証拠を複数確認~

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2022-03-08 北海道大学総合博物館,筑波大学,東京大学総合研究博物館


現代のシナガチョウ(左)とヨーロッパガチョウ(右)

北海道大学総合博物館の江田真毅准教授らと筑波大学人文社会系の板橋 悠助教、東京大学総合研究博物館の米田 穣教授、蘭州大学、浙江省文物考古研究所、金沢大学、蕭山博物館の国際研究グループは、約7000年前の中国・長江下流域の田螺山遺跡から出土したガン類の骨の組織学的・地球科学的・生物学的・形態学的調査によって、同遺跡におけるガン類の家禽化の複数の証拠を発見しました。

長江下流域は、現在もガン類の越冬地ですが、繁殖地ではありません。しかし、組織学的分析から、田螺山遺跡から出土したガン類の骨には、越冬地に渡ってきたものとは考えにくい幼鳥の骨が含まれることが明らかになりました。酸素の安定同位体分析から、これらの幼鳥だけでなく、成鳥にも現地で生まれ、渡りを経験していないと考えられる個体が含まれることがわかりました。また、窒素と炭素の安定同位体分析では、在地性のガン類は渡りをしていたガン類とは異なる食性をしていたことがわかりました。さらに、形態学的分析により在地性のガン類は大きさが類似しており、数世代にわたって野生個体から隔離されてきたことが考えられました。これらの在地性のガン類の骨は放射性炭素年代測定によって田螺山遺跡が営まれた約7000年前のものであることが確認されました。

これらの証拠から、研究グループは約7000年前にガン類が飼育されており、家禽化の初期段階にあったと結論付けました。家禽化されたガン類であるガチョウの歴史は、これまで約3500年前のエジプトに端を発すると考えられてきました。本研究成果は従来の考えを大幅に遡り、ガン類飼育の歴史がより長かったことを示しています。また、現在最も普及している家禽であるニワトリの飼育も確実な証拠は約4000年前以降と考えられており、今回の成果は家禽の歴史も大幅に更新するものといえます。

なお、本研究成果は、2022年3月8日(火)公開のProceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America誌にオンライン掲載されました。

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