考古学的遺物から見つかる古代ウイルスとその進化研究

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2022-06-20 国立遺伝学研究所

Detection of Ancient Viruses and Long-Term Viral Evolution
Luca Nishimura, Naoko Fujito, Ryota Sugimoto, and Ituro Inoue*
Viruses (2022) 14, 1336 DOI:10.3390/v14061336

古代人の遺骨をはじめとする考古学的遺物には古代DNAや古代RNAが含まれています。これらのDNAやRNAには古代人や古代人に感染していた細菌、ウイルスなどのゲノム情報が含まれています。このゲノム情報を探索することにより、1997年から現在に至るまで遺骨やミイラ化した組織から20種類を超える古代ウイルスが見つかってきました。これらの古代ウイルスの中には100年前にスペイン風邪をもたらしたインフルエンザウイルスや1万年ほど前の遺骨から見つかったB型肝炎ウイルスなどが含まれています。これらの古代ウイルスゲノムを解析することにより、現代のウイルスだけからはわからない複雑かつ長期的なウイルスの進化過程などを明らかにすることができます。本総説では古代ウイルスの探索手法やこれまでに報告のあった古代ウイルスを紹介し、それらのゲノム情報を使ったウイルス進化研究や今後の展望について議論しています。

国立遺伝学研究所・人類遺伝研究室の西村瑠佳 学振特別研究員 (総研大生) と井ノ上逸朗教授らのグループによって執筆され、Viruses誌の特別号Virus Bioinformatics 2022に掲載されました。

Figure1

図:古代ウイルスを探索する方法の概要。古人骨などには古代人由来のDNAだけでなく、古代人の体内に存在していた細菌やウイルス由来のDNAが含まれています。それらのDNA配列をシーケンシングによって取得し、相同性検索など様々なバイオインフォマティクス解析手法を組み合わせることによって古代ウイルスの同定を行います。

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細胞遺伝子工学
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