2022-10-24 神奈川県立産業技術総合研究所,横浜国立大学,科学技術振興機構
ポイント
- 生体外で高効率(~100パーセント)に毛幹を生み出せる毛包オルガノイドの作製に成功した。
- 毛幹の長さは3ミリメートルに達し、ピンセットで操作できる長さとなった。
- 毛幹の着色に用いられるメラノソームの動きを可視化でき、毛の色を濃くする薬剤の効果を評価できた。
- 毛包オルガノイドをマウスに移植すると毛包が生着し、毛の生え代わりを繰り返した。
神奈川県立産業技術総合研究所(KISTEC)/横浜国立大学の景山 達斗 研究員/助教、福田 淳二 プロジェクトリーダー/教授らの研究グループは、生体外で高効率(~100パーセント)に長毛を生み出す毛包オルガノイドを作製する方法を開発しました。ヘアフォリクロイドと名付けられた新規の毛包オルガノイドは、上皮系細胞と間葉系細胞の自己組織化による空間配置を制御することで作製され、産生された毛幹の長さは3ミリメートルまで達しました。また、毛球部におけるメラノソームの動きの可視化、毛の色を濃くする薬剤の効果の評価、移植による毛髪再生ができることを確認しました。この毛包オルガノイドは、生体現象理解のための培養モデルおよび白髪や脱毛症の治療薬のスクリーニングツール、そして毛髪再生医療のための移植組織など、さまざまな用途への応用が期待できます。
本研究成果は、国際科学雑誌「Science Advances」に米国時間2022年10月21日(日本時間2022年10月22日)に掲載されました。
本成果は、以下の事業・研究領域の助成によって得られました。
・科学技術振興機構・さきがけ(JPMJPR19H2)
・文部科学省 地域イノベーション・エコシステム形成プログラム
・神奈川県立産業技術総合研究所・有望シーズ展開事業
・日本学術振興会 科学研究費助成事業(18K18971、19K21107、20K20208、20H02535)
・日本医療研究開発機構(19213841)
・住友財団 基礎科学研究助成
・ホーユー科学財団 研究助成
・花王メラニン研究会 研究助成
<論文タイトル>
- “Reprogramming of three-dimensional microenvironments for in vitro hair follicle induction”
- DOI:10.1126/sciadv.add4603
<お問い合わせ先>
<研究に関すること>
福田 淳二(フクダ ジュンジ)
神奈川県立産業技術総合研究所 有望シーズ育成事業 再生毛髪の大量調製革新技術開発プロジェクト プロジェクトリーダー
横浜国立大学 工学研究院 教授
<JST事業に関すること>
保田 睦子(ヤスダ ムツコ)
科学技術振興機構 戦略研究推進部 ライフイノベーショングループ
<報道担当>
神奈川県立産業技術総合研究所 研究開発部 地域イノベーション推進課
横浜国立大学 総務企画部 学長室 広報・渉外係
科学技術振興機構 広報課