新規の循環型iNKT細胞を発見~抗腫瘍・抗ウイルス感染効果の高い免疫細胞療法の開発への貢献に期待~

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2022-10-24 京都大学

崔广為 医生物学研究所助教、生田宏一 同教授らの研究グループは、抗腫瘍免疫と抗ウイルス免疫において重要な役割を担う新規の循環型インバリアントナチュラルキラーT(iNKT)細胞を発見しました。

iNKT細胞は免疫応答の初期に働き、自然免疫と獲得免疫を橋渡す役割を持つ自然免疫様Tリンパ球であり、がんや感染症、慢性炎症、自己免疫疾患などの様々な病気に関係しています。本研究では、遺伝子改変マウスや網羅的遺伝子発現解析を用い、これまで知られていた組織常在型iNKT細胞がT細胞に近い性質を持っていたのに対し、循環型iNKT細胞はサイトカインや細胞傷害分子を大量に産生するなどNK細胞に近い特徴を示すことを明らかにしました。さらに、循環型iNKT細胞は胸腺の髄質上皮細胞由来のインターロイキン15(IL-15)により分化が誘導され、メラノーマ細胞の肺転移やインフルエンザウイルスの感染に対して強い防御作用を持っていました。本研究成果は、今後、iNKT細胞を用いた効果の高い免疫細胞療法の開発につながることが期待されます。

本研究成果は、2022年10月21日に、国際学術誌「Science Immunology」にオンライン掲載されました。

文章を入れてください
図 循環型iNKT細胞は抗腫瘍・抗ウイルス免疫応答を促進する

研究者のコメント

「近年、難治性のがんに対してCAR-T細胞を代表とする革新的な免疫細胞療法が開発されました。がん局所での迅速な免疫応答能とがん微小環境の調節機能を有するiNKT細胞を元にして、遺伝子導入技術を用いてより効果が高い免疫細胞療法の開発に発展することが期待されます。」(崔广為)

詳しい研究内容≫

研究者情報
研究者名:崔 广為
研究者名:生田 宏一

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細胞遺伝子工学
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