アルツハイマー病に対する新薬実用化に伴う医療提供体制など社会的な課題に関する意識調査

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2024-10-03 東京大学

発表のポイント

  • アルツハイマー病に対する疾患修飾薬の実用にあたって想定される医療提供体制など社会的な課題に関して、非医療者(約2,000人)、専門医(約1,500人)を対象にアンケートを実施。
  • 疾患修飾薬の治療対象となる人の割合や病気の重症度、また薬の予想される効果への印象について、非医療者のほうがより期待している結果であり、非医療者と専門医との間で疾患修飾薬への受け止め方の違いがみられた。
  • アルツハイマー病のなりやすさや治療薬の副作用の出やすさに関わるAPOE遺伝子の検査(保険適応外)について、その必要や機会があれば受ける意向がある非医療者は約9割だった。
  • もし疾患修飾薬治療の医療提供が追いつかず順番に投与せざるを得ない状況を仮定したときに「医療経済や社会的な観点などから優先順位をつけることが許容されるか」について調べたところ、医学的根拠(効き目・副作用等)の観点からは非医療者・専門医いずれも約2/3が許容する立場だった。
  • 疾患修飾薬の安全・適正・公平な提供のための今後のコミュニケーションや議論に資することが期待できる。

アルツハイマー病に対する新薬実用化に伴う医療提供体制など社会的な課題に関する意識調査

概要

アルツハイマー病に対する疾患修飾薬(※1)としてレカネマブ、ドナネマブといった新薬が登場し、2023 年 12 月からレカネマブは国内で臨床実用されています。疾患修飾薬の安全・適正な使用のためには多くの事前検査を行なった上で、投与にあたって各種要件を満たした施設・医師によって投与されることが重要です。しかしそのような条件を満たす施設・医師・また治療枠の数は必ずしも十分ではないなど、疾患修飾薬の治療を安全・適正・継続的に国民に提供していくためにはさまざまな課題が想定されます。
それに対する検討・解決の端緒として今回、東京大学大学院医学系研究科・佐藤謙一郎助教、岩坪威教授らのグループは、厚生労働省の令和 5 年度厚生労働行政推進調査事業費補助金「認知症医療の進展に伴う社会的課題の検討のための研究」(研究代表者:新井哲明)、令和 5 年度老人保健健康増進等事業「認知症の医療提供体制に関する調査研究事業(委員長:粟田主一)」と協同して、非医療者(約 2,000 人)、また認知症診療に関わる専門医(約 1,500 人)を対象に 2023 年 11-12 月にアンケート調査を実施し、新薬に対する印象、治療対象者を優先順位付する可能性に対する意向、新薬の副作用に関わる APOE 遺伝子の検査への意向などについて、非医療者と専門医との間での受け止め方の共通点や異なる点を明らかにしました。本研究によって今後のアルツハイマー病新薬治療のより安全・適正・公平な提供への議論が促進されることが期待できます。
本研究成果は、2024 年 10 月 3 日に国際学術誌「Alzheimer’s & Research & Therapy」にオンライン掲載されました。

詳しい資料は≫

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