2024-11-06 東京大学
東京大学大学院薬学系研究科の林元棋 大学院生、伊藤寛晃 准教授、井上将行 教授の研究グループは、がん研究会がん化学療法センターの旦慎吾 博士との共同研究により、鎖状ペプチド系天然物エフラペプチンCの柔軟なリンカー部位に最小の炭化水素基であるメチル基を導入することで抗がん活性を向上しました。
メチル基の導入による活性向上は、医薬品候補化合物の探索において、合成低分子に対して用いられてきた一方で、エフラペプチンCのような柔軟な鎖状化合物に対しては、適切な導入位置や立体配置、得られる効果に関して予測性が低く、適用が困難でした。本研究では、分子動力学シミュレーションによるリンカー部位の配座特性の予測と迅速に類縁化合物を網羅合成できる固相戦略を組み合わせた方法(メチルスキャン)によって、分子の生物活性と分解耐性の向上を実現し、有効性を実証しました。本法は、柔軟なリンカーをもつ分子の設計に応用が可能で、生命科学分野の発展に役立つことが期待されます。
論文情報
Yuanqi Lin, Hiroaki Itoh, Shingo Dan, Masayuki Inoue*, “Methyl Scanning Approach for Enhancing the Biological Activity of the Linear Peptidic Natural Product, Efrapeptin C,” Chemical Science: 2024年11月5日, doi:10.1039/D4SC04384G.
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