新規の遺伝性再生不良性貧血症「ADH5/ALDH2 欠損症」を発見

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日本人半数が持つお酒が飲めない体質遺伝子と遺伝性血液難病の関連性

2020-11-06 京都大学

高田穣 生命科学研究科教授、牟安峰 同研究科教務補佐員らの研究グループは、生命科学研究科・附属放射線生物研究センターの所属であった佐々木正夫 名誉教授が収集された患者サンプルのゲノム解析を発端に、いままで見逃されていた新たな遺伝性再生不良性貧血症である「ADH5/ALDH2 欠損症」を発見しました。

遺伝性の再生不良性貧血は、小児の重症難病で、白血病への進行も多く、その解明は医学・生命科学の重要な研究課題です。

ALDH2はアルコールからできるアセトアルデヒドを分解する酵素であり、その遺伝子は変異によってお酒が飲めない体質となる有名なものです。ALDH2 の変異自体は日本人の~50%が持っています。ADH5/ALDH2 欠損症の患者たちは、ALDH2に加えてホルムアルデヒド(=ホルマリン)分解酵素の ADH5が変異して、体内のホルマリン分解ができなくなり、そのために再生不良性貧血になることを解明しました。ALDH2も実はホルマリンを分解していたのです。この発見によって、いままで診断がつかなかった⼀群の患者の診断がつき、より的確な治療が行えます。

本研究グループは、患者からiPS細胞を作成して研究し、現在続報の論文を投稿中であり、今後、iPS細胞と新開発の薬物等を利⽤して治療法研究を進めていく予定です。

本研究成果は、2020年11月4日に、国際学術誌「Molecular Cell」にオンライン掲載されました。

図:本疾患の概要図

書誌情報

【DOI】 https://doi.org/10.1016/j.molcel.2020.10.012

【KURENAIアクセスURL】 http://hdl.handle.net/2433/255881

Felix A. Dingler et al. (2020). Two Aldehyde Clearance Systems Are Essential to Prevent Lethal Formaldehyde Accumulation in Mice and Humans. Molecular Cell.

詳しい研究内容≫

医療・健康細胞遺伝子工学
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