子どもの健康と環境に関する全国調査(エコチル調査)より
2020-12-02 京都大学
後藤禎人 医学研究科特定助教、萬代真理恵 同研究員、佐藤俊哉 同教授、中山健夫 同教授らの研究グループは、国立環境研究所と共同で、子どもの健康と環境に関する全国調査(エコチル調査)の約2万人の妊婦の血中鉛濃度と、新生児の体格(体重、身長、頭囲)との関連について解析しました。その結果、以下のことが明らかになりました。
- 本邦における妊婦の血中鉛濃度は、他の国・地域からの報告と比べて、極めて低い。
- 妊婦の血中鉛濃度が高くなるにつれて、わずかに新生児出生体重が減少する。
- 血中鉛濃度が高くなるにつれて、SGA(在胎週数に見合う標準的出生体重に比して小さい)や低出生体重(在胎週数によらず、出生時体重が2,500g未満)で生まれる児がわずかに多い。
- 男女児ともに、妊婦の血中鉛濃度が高くなると、わずかに出生時の身長、頭囲が減少していた。
- 本調査では、妊婦の血中鉛濃度と妊娠期間の短縮や早産との関連は認められない。
- 本調査の妊婦の血中鉛濃度の範囲では、新生児の出生時体格への個人的な影響は限定的である。
なお、本研究の結果は、あくまで参加妊婦の範囲内での影響に関するものです。
本研究成果は、2020年11月3日に、国際学術誌「International Journal of Epidemiology」に掲載されました。
図:大部分の妊婦の血中鉛濃度は1.0 µg/dLであり、母体血中鉛濃度が高くなるほど、出生児体重は減少していました。ただし、母体血液中の鉛濃度が0.1 µg/dL上昇するごとに、5.4g (95%CI:3.4-7.5g) の体重減少であり、その個人的な影響は限定的でした。
研究者情報
研究者名:後藤 禎人
研究者名:佐藤 俊哉
研究者名:中山 健夫