抗がん剤抵抗性の新規メカニズムの解明 ~薬剤抵抗性がん細胞は抗がん剤により増殖する~

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2021-03-25 京都大学

樋口牧郎 医学研究科研究員、渡邊直樹 同教授(兼・生命科学研究科教授)、高折晃史 同教授らの研究グループは、がん治療抵抗性の新たな分子メカニズムを発見しました。

治療抵抗性がん細胞の出現はがん化学療法において大きな課題であり、その分子メカニズムには多くの謎が残されています。本研究グループは、がん細胞の増殖を促進すると考えられているc-Srcと呼ばれるチロシンキナーゼに注目しました。近年、がん細胞の増殖に関与するキナーゼの活性を阻害する分子標的薬が数多く開発されています。本研究では、蛍光顕微鏡を用いたライブセルイメージングによって、キナーゼ阻害薬がc-Srcに結合するとc-Srcの分子構造が不活性型から活性型へ変化することを見い出しました。さらに、治療抵抗性変異をもつc-Srcに対しキナーゼ阻害薬は効果を失うだけでなく、キナーゼ阻害薬がかえって変異体c-Srcを活性化し、がん細胞の増殖を促進することを明らかにしました。

本研究成果は、治療抵抗性のしくみを解明し、より効果的な抗がん作用をもつキナーゼ阻害薬の開発の基盤になると期待されます。

本研究成果は、2021年3月24日に、国際学術誌「Cell Reports」に掲載されました。

本研究の概要図図:本研究の概要図

詳しい研究内容≫

研究者情報
研究者名:渡邊直樹
研究者名:高折晃史

関連情報

【DOI】 https://doi.org/10.1016/j.celrep.2021.108876

【KURENAIアクセスURL】 http://hdl.handle.net/2433/262322

Makio Higuchi, Kenichi Ishiyama, Masahiro Maruoka, Ryosuke Kanamori, Akifumi Takaori-Kondo, Naoki Watanabe (2021). Paradoxical activation of c-Src as a drug-resistant mechanism. Cell Reports, 34(12):108876.

有機化学・薬学
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